電柱上で作業中、電柱が倒れ、地上に激突し死亡
業種 | 電気通信工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 老朽、疲労、使用限界 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101230
発生状況
この災害は、農道の改良工事に伴う電柱移設のため、木製電柱(直径25cm、高さ約8m)を撤去する作業中に発生したものである。 当該作業は、木製電柱を引き倒し撤去するものであるが、直接引き倒すには新設した電柱間に引かれている電話線をかわす必要があったため、撤去する電柱に登りその上部を切り取った後に、電柱にワイヤロープを取り付け、ドラグ・ショベルを使用して引き倒すというものであった。 被災者は電柱に登り、電柱倒壊防止のための仮支線を取り付けた後、電柱上部約4mを2回に分けてチェーンソーで切断した。その後、ドラグ・ショベルで引き倒すための台付けワイヤロープを取り付けたところ、電柱が傾き、命綱を電柱に取り付けていた被災者が地上約4mから電柱と共に地上に激突したものである。 当該電柱は地表面(砂地)から深さ約20cmの地中で折れており、断面は全体にわたって腐食していた。また、事業場で定めた抜柱の作業手順書には電柱の腐食状態を調査するよう定められていたが、腐食の調査は行っていなかった。また、電柱の倒壊防止のための仮支線は、計画では三方向に3本張る予定であったが、電柱が東側に傾いていたため、倒壊した反対側の西側2方向に2本張っただけであった。 なお、当該事業場では安全に作業を行うための作業計画を作成しておらず、作業者に対する安全衛生教育も行っていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | ||
1 | 電柱の腐食状態を調査せず、腐食した電柱に登ったこと 当該事業場の抜柱の作業手順書には電柱の腐食状態を調査するよう定められていたにもかかわらず、腐食の調査を行わなかったため、埋没部分が腐食した電柱に登り被災した。 |
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2 | 電柱の倒壊防止対策として電柱に設置する仮支線は、三方向に3本張る予定であったが、実際は2本張っただけであり、電柱を支える強度が欠けていたこと | |
3 | 作業開始前に作業計画を作成しておらず、また、作業者に対する安全衛生教育も行っていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 電柱の撤去作業を行う場合は、撤去する電柱の腐食状態を事前に調査し、その結果に基づき、電柱の倒壊防止措置を講じること 作業手順書に定められているとおり、電柱の腐食状況、土質の状態等、電柱の倒壊又は折損の要因等について事前に調査を行い、腐食等が認められた場合は、電柱の倒壊防止措置として、仮支線、副木等で電柱を補強する必要がある。また、電柱に張る仮支線は三方向に3本張ることが必要である。 |
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2 | 予め、安全に作業を行うための作業計画を作成するとともに、これを基に作業者に対し安全衛生教育を行うこと |