ドラグ・ショベルで石材をトラックに積み込む作業中、作業者がバケットに激突され死亡
業種 | その他の土石採取業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 憶測判断 | |||||
発生要因(管理) | 合図なしに物を動かし又は放す |
No.101229
発生状況
この災害は、ドラグ・ショベルで石材をつり上げ、トラック(車両積載形トラッククレーン)に積み込む作業において、発生したものである。 災害発生当日は、山中の石材採取場から庭石用の石材をドラグ・ショベルと不整地運搬車を使用して採取し、トラックに積み込み、会社まで運搬する作業が予定され、作業者AとBの2人が作業に従事していた。現場に到着した2人は現場に置いてあった1台のドラグ・ショベルを使用して、トラックに石材を積み込みやすいように作業スペースを確保した。その後、採集した石材を不整地運搬車に載せトラックの脇に運び、Aはドラグ・ショベルのフックへの玉掛け・玉外しを行い、Bがドラグ・ショベルを運転して、石材をつり上げてトラックに積み込み始めた。 作業は夕方まで続き、周囲が薄暗くなってきたので、Bは当日の作業を終わろうとしたが、残りの石材が少なくなっていたため、Aの提案で作業を最後まで行うこととした。その後、つり上げた石材をトラックの荷台に載せた後、Bがドラグ・ショベルのバケットを前方に動かしたところ、バケットがAに激突した。Aは病院に搬送されたが、死亡した。 Bは、Aが玉外ししたとの合図は確認したが、Aが退避したことを確認しないままドラグ・ショベルのバケットを動かしていた。また、この作業では、作業計画や作業手順書がなく、作業者同士の合図方法も曖昧なまま作業が進められていた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | ||
1 | 作業に適した用途の機械を使用しなかったこと 当該現場に移動式クレーンがあったにもかかわらず、石材のつり上げに使用せず、ドラグ・ショベルを用途外で使用した。 |
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2 | 作業者がドラグ・ショベルの可動範囲から退避したことを確認しないで、ドラグ・ショベルを作動させたこと | |
3 | 作業計画が策定されておらず、作業者同士の合図が確実でなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 荷をつり上げて運搬する作業には、移動式クレーンを使用すること | |
2 | 車両系建設機械の作業範囲に作業者等の立入を禁止すること ドラグ・ショベル等、車両系建設機械に作業者が接触することを防止するため、作業範囲を立ち入り禁止とするか、誘導者、合図者を配置してその者に当該機械を誘導させるようにしなければならない。 |
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3 | 安全な作業を行うための作業計画を策定し、適正な機械の使用、作業者の作業位置、合図の方法等を関係作業者に周知徹底してから作業を行うこと |