産業廃棄物処理施設において、産業廃棄物の選別作業中、派遣労働者がドラグ・ショベルにひかれ、死亡
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.101228
発生状況
この災害は、派遣労働者が派遣先の産業廃棄物処理施設において、産業廃棄物の選別作業を行っているときに発生したものである。 この選別作業は、主に建築物解体現場から運ばれてきた産業廃棄物をドラグ・ショベルおよびホイールローダーにより木材、プラスチック、金属等に大まかに分類した後、さらに手作業により細かく分別する作業である。 災害発生当日、派遣先労働者である作業者AとB、派遣労働者である作業者CとDの計4人で選別作業を行っていた。 選別作業が一段落したところで、Aの指揮により、廃プラスチックの積込み作業を行うため、CとDは金属類の集積場所に移動し、AとBは、廃プラスチックを運搬するためのトラック進入路を確保する作業にとりかかった。Bがホイールローダーを運転し、トラックの進入路に当たる箇所に散乱していた廃棄物を1カ所にかき集めるとともに、分別コンテナの前に止められていたドラグ・ショベルをトラックへの積込用とするため、トラック進入路付近まで移動させようとAが運転し、左旋回の後、2mほど前進させたところ、金属類の集積場所で作業していたCをドラグ・ショベル右側のクローラでひいたものである。Cはすぐに病院に搬送されたが、死亡した。Aはドラグ・ショベルを運転する際、周囲の状況をよく確認していなかった。 この事業場では、作業者が行う作業場所でドラグ・ショベルおよびホイールローダーを運行していたが、運行経路への立入禁止措置の実施、誘導者の配置等の接触防止措置等を講じておらず、作業計画も策定していなかった。 なお、CとDは選別作業に係る安全衛生教育を派遣元、派遣先のいずれでも受けていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | ||
1 | 作業者と運転中のドラグ・ショベルとの接触防止措置を講じていなかったこと ドラグ・ショベルの運行経路への立入禁止措置を講じておらず、また、誘導者も配置していなかった。 |
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2 | ドラグ・ショベルの運転者が運転前に行うべき周囲の安全確認が不十分であったこと | |
3 | 作業計画が策定されていなかったこと ドラグ・ショベルによる作業に際し、作業計画が策定されておらず、かつ、関係作業者へ当該機械の運行経路、立入禁止区域等が周知徹底されていなかった。 |
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4 | 関係作業者に対して安全衛生教育を行っていなかったこと 派遣先の作業場所には、ドラグ・ショベル、ホイールローダー等の運行により、当該機械との接触による危険があるにもかかわらず、派遣元および派遣先ともに派遣労働者に対して安全衛生教育を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 作業者とドラグ・ショベル等との接触防止措置を行うこと ドラグ・ショベル、ホイールローダー等と作業者が接触するおそれのある箇所には、立入禁止区域を設ける、または誘導者を配置してその者に機械を誘導させる必要がある。。 |
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2 | ドラグ・ショベル等の運転者に対し、運転開始前に周囲の安全を確認するよう教育すること 運転者に対し、作業者が機械へ接触するおそれがない等、周囲の安全を確認したのち運転を開始するよう教育を行う。 |
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3 | 作業計画を策定し関係者に周知徹底すること ドラグ・ショベル、ホイールローダー等の機械を用いて作業を行う場合には、運行経路、立入禁止措置、誘導者の配置、合図等の作業方法に関する作業計画を策定しなければならない。さらに、作業計画の内容を関係作業者に周知徹底する必要がある。 なお、策定する作業計画では、機械による作業と手作業による分別作業との混在作業は避けるようにする。 |
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4 | 派遣労働者に対し安全衛生教育を実施すること 派遣労働者に対し、一般的な安全衛生教育を派遣元において行うとともに、従事する作業に係る危険性、労働災害防止の方法等についての安全衛生教育を派遣先において行う。 |