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労働災害事例

マグネシウム成形機で発生した火災の消火活動中、煙を吸い込む

マグネシウム成形機で発生した火災の消火活動中、煙を吸い込む
業種 電気機械器具製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の危険物、有害物等
災害の種類(事故の型) 高温・低温の物との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:0人
不休者数:4人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) 保護具を使用していない

No.101225

発生状況

 この災害は、マグネシウム成形機の金型の下部付近で発生した火災の初期消火中に、煙を吸い込んで被災したものである。
 災害発生当日、作業者Aは、朝からマグネシウム合金製金属部品の成形作業に従事していた。午後の作業に取り掛かって約2時間たったとき、成形機の操作盤にマグネシウム合金の溶融温度のエラーが表示されたため、Aは成形機を停止して修理をしていたところ、成形機の金型の下から炎が発生した。Aは直ちに、火災報知器を操作するとともに、かけつけた作業者B〜Dの3人とマグネシウム火災用の消火器と砂を使って初期消火活動を行った。間もなく、消防車が到着したので、A〜Dの4人は屋外に退去したが、いずれも煙を吸い込んでおり、病院で手当てを受けた。
 火災は、炎が発生した成形機の金型の下付近を中心に成形機およびコンクリート床面が焦げていたこと、成形機の周囲には、火元となるものはなかったこと、成形機は清掃を実施しておらず、成形機の表面や金型の周囲に機械油や離型剤が付着し、成形機の下の床面に相当量のほこりが堆積していたことから、600℃に加熱され溶融状態となった原料のマグネシウム合金が金型の外側にこぼれ、付着していた機械油や堆積していたほこり等に着火したものであった。
 この事業場では、マグネシウム合金を火元とする火災の対応手順書が作成され、年1回消火訓練を実施していたが、消火活動時に煙を吸い込まないようにする呼吸用保護具は用意していなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  溶融したマグネシウム合金を金型に射出した際、合金の一部が金型の外側にこぼれたこと
2  こぼれた溶融状態のマグネシウム合金により、床面の機械油やほこりに着火したこと
3  消火活動において使用する呼吸用保護具が用意されていなかったこと

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  マグネシウム合金が金型の外側に漏れ出ることを防止するような設備の改善を行うこと
2  成形機および床面等は定期的に清掃を行い、機械油、ほこり等の燃えやすいものを周囲から除去すること
3  火災発生時に使用する呼吸用保護具を備え、定期の消火訓練時に保護具の使用の訓練を行うこと