発電機の性能検査中に感電し死亡
業種 | 重電機製造業 | |||||
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事業場規模 | 1000人以上 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の電気設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 充電部分の防護なし、不十分 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.101219
発生状況
この災害は、夜間に発電機の性能検査を実施中に作業者が感電したものである。 災害発生当日の夕方、Z社の構内で、Z社が製造した発電機の性能検査を請け負っていたY社は、Z社から、夜間の作業として「昼勤で実施した発電機の性能検査の続き」および「発電機から漏れ出したタービン油受けに取り付けてあるビニール袋の付け替え」を行うよう作業指示書により指示された。Y社では作業者A〜Cの3人が担当して、AとBが発電機のすぐ傍らでタービン油受けの袋の付け替え作業を、Cが試験室で電圧波形の分析を、それぞれ行うことにした。 AとBは、タービン油受けの袋の付け替えに取り掛かったが、性能検査のために設置した計器用トランスの周囲の床にタービン油がこぼれていたので、Aがこれを拭こうとしてトランスの一次側に接近したとき、Aの体に放電火花が飛び、Aは感電した。さらに放電火花により床にこぼれていたトランスの油が燃え、Bが火傷を負った。AとBは病院に搬送されたが、Aは死亡した。 計器用トランスは、電圧波形の測定のために設置されたもので、一次側には18kVの特別高圧の電圧がかけられていたが、その周囲には囲い等の立入禁止措置は講じられていなかった。また、発電機の周囲でタービン油受けに取り付けてあるビニール袋の付け替えを行っていたにもかかわらず、特別高圧の電圧をかける性能検査を同時に行っていた。 また、Z社はY社に対し当日の夜勤で行う作業の指示を書面で行っていたが、Y社では作業計画書を作成せずに作業していた。 なお、Y社では、作業者に特別高圧の電気取扱業務に係る特別教育を実施しておらず、A〜Cは電気に関する知識や技能が不十分なまま作業に従事していた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 感電防止のための対策が行われていなかったこと 計器用トランスの一次側は18kVの特別高圧で充電されていたのにもかかわらず、立入禁止の措置を講ずる、絶縁用防具を装着する等の対策が行われていなかった。 |
2 | 作業計画書を作成しないまま作業に取り掛かったこと 作業の実施に当たって、作業の範囲、作業の手順等を作業計画で定めず、作業中の危険等の確認をしないまま作業に取り掛かったため、特別高圧で充電された計器用トランスの近くでビニール袋の付け替えを行い感電につながった。 |
3 | 作業者に対し、電気取扱業務に係る特別教育を実施していなかったこと 特別教育を受けていない、電気に関する知識および技能が不十分な作業者に作業を行わせた。 |
対策
同種災害の防止のために、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 感電防止のための対策を行うこと 特別高圧で充電されているトランス等については、作業中または通行の際に、接触または接近することのないよう、電圧に応じた接近限界距離の外側に柵等を設けて立入を禁止する。それより近づいて作業を行う必要がある場合は、活線作業用装置を使用させる等の感電防止対策を行う。 |
2 | 作業計画書を作成して作業を行わせること 特別高圧で充電されている電路等に近接して作業を行うときは、停電して作業を行うことを含めて安全な作業方法を検討した上で作業計画書を作成し、関係作業者に周知徹底する。 |
3 | 作業者に対し、必要な特別教育を実施すること 作業者に電気取扱業務に係る特別教育を実施し、電気の取扱いに関する知識・技能を確認してから作業に従事させる。 |