焼却炉のホッパーに詰まった焼成灰の除去作業中に火傷
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 炉、窯 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.101216
発生状況
この災害は、産業廃棄物のリサイクルにより、土木建設資材等を製造している工場において発生したものである。 この工場での工程は、産業廃棄物を焼却炉で焼却し、これを焼成炉(無機物を焼き固める炉)で焼き固め、さらにクーラー(焼成灰の温度を下げる設備)を通し、冷却して建設資材等を製造するというものである。 災害発生当日、3名の作業者は、焼成炉から焼成物が、クーラーに排出されなかったため、点検するために焼却炉と焼成炉の運転を停止した。その後、ホッパー(焼成炉の出口部分)の内部を水で冷却し、詰まっている焼成灰をバールで突いて詰まりをなくそうとしたところ、突然ホッパーに詰まっていた焼成灰の塊が崩壊して飛散し、3名の作業者とも、火の粉を含んだ焼成灰を浴び火傷を負った。 作業に従事していた3名の作業者は、焼成灰の内部の温度を確認しないまま、詰まっている焼成灰の除去作業を、耐火作業服、保護めがね等の保護具を着用しないまま行っていた。 また、当該工場では、焼却作業の作業マニュアルが作成されておらず、焼却作業等に伴う危険性についての安全衛生教育も十分に行われていなかった。 なお、災害発生前日には、焼成炉のホッパー内に付着しているクリンカー(1000℃程度で焼成灰が溶けて壁に付着したもの)の除去作業(定期的に実施)を行ったが、除去作業後の状態の確認を行っていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 3名の作業者は、焼成炉に詰まった焼成灰の内部の温度を確認しないまま、焼成灰をバールで取り除こうとしたこと |
2 | 3名の作業者は、耐火作業服、保護メガネ等の保護具を着用しないまま焼成灰の除去作業を行ったこと |
3 | 当該工場では、産業廃棄物の焼却作業等の作業マニュアルが作成されておらず、また、焼却作業等に伴う危険性についての安全衛生教育も十分に行われていなかったこと |
4 | 焼成炉ホッパー内の詰まりの原因となるクリンカーの除去作業(定期的に実施)は、災害発生前日に行っていたが、除去作業後の状態の確認を怠っていたため除去が不十分な状態であったこと |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策が必要である。 | |
1 | 高温の焼成灰などの除去を行う場合は、冷却時間を十分にとるとともに、焼成灰などの内部まで完全に冷却されたことを確認してから作業に取りかかること (なお、高温物に直接水をかけて冷やすことは、水蒸気爆発等の原因となるので行ってはならない)。 |
2 | 高温物を取扱う作業では、耐火作業服、保護メガネ等の保護具を作業者に着用させること |
3 | 産業廃棄物の焼却作業における作業マニュアルを作成し作業者に周知徹底させることとともに、焼却作業等に伴う危険性についての安全衛生教育を十分に行うこと |
4 | 焼成炉ホッパー内の詰まりの原因となるクリンカーについては、定期的に除去作業を行うとともに、除去が十分に行われたか、除去作業後の状態を確認すること |