実験中、カートリッジ式ボンベが破裂し、火傷を負う
業種 | 金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の圧力容器 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 安全の不確認(以前の) | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他の不安全な行動 |
No.101215
発生状況
この災害は、アルミ製建築材料を製造する工場で、実験を行っている時に発生した。 災害発生当日、職長Aおよび4人の作業者は、ラッピングマシンでアルミ材料に木目のシールを貼る作業を、効率よく行うための表面温度、供給速度等の条件を求める実験を行っていた。 実験は、アルミ材料の表面温度を測定しながら、アルミ材料の供給速度と加熱状況を調整するものであり、供給はベルトコンベヤーで、加熱はラッピングマシンに10個のカートリッジ式ボンベ(LPG燃料)を取り付け、さらにボンベにガストーチを取り付けたものに火をつけて行っていた。実験開始後、アルミ材料の供給速度を毎分15mから、5m、次いで10mに変更し、約1時間が経過したとき、1個のカートリッジ式ボンベが破裂し、同時に爆発した。このため、ラッピングマシン周囲で実験状況の確認を行っていた5人のうち、Aを含む3人が軽いやけどを負った。 実験で使用していたカートリッジ式ボンベには、「40℃以上の場所に放置しないこと」および「加熱されるような使用はしないこと」の警告表示があったが、アルミ材料を110℃程度に加熱していたこと、1時間程度ガストーチに火をつけた状態であったことから、輻射熱やガストーチ相互間の加熱により、カートリッジ式ボンベの警告をはるかに上回る温度までボンベが加熱されて、ボンベが破裂し、ボンベから噴出したLPGガスにガストーチの火が着火し、爆発したものである。 災害が発生した作業は、最適な製造条件を見出すための実験であり、作業手順書は作成されておらず、また、この実験に伴う危険を予測するための危険予知活動やリスクアセスメントも実施されていなかった。 なお、この事業場では、Aに対する職長教育を実施しておらず、また、作業者に対する安全衛生教育も実施していなかったため、職長、作業者とも安全衛生に関する意識が低かった。 |
原因
この災害の直接的な原因は実験に使用していたカートリッジ式ボンベが加熱されて破裂したことであるが、これを引き起こした間接的な原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 実験作業について危険予知活動やリスクアセスメントを行っておらず、事前に労働災害防止の措置について検討していなかったこと |
2 | カートリッジ式ボンベの本体が危険な温度に上昇する作業方法であったこと |
3 | 職長や作業者に対して、必要な安全衛生教育を実施していなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業手順書が作成されていない作業を行う際には、事前に、危険性または有害性を特定してリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいて必要な対策を検討した上で、安全な作業手順を決定した上で作業を行うこと |
2 | カートリッジ式ボンベ本体が加熱されることのない作業方法とすること |
3 | 職長や作業者に対して、必要な安全衛生教育を実施すること |