ダムの取水ゲートの点検中、ダイバーが溺死
業種 | その他の土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 水 | |||||
災害の種類(事故の型) | おぼれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | 溺れ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他服装を指定していない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不安全な服装をする |
No.101214
発生状況
この災害は、ダム内に堆積した土砂等の浚渫工事で、開かなくなった取水ゲートをダイバーが潜水して点検しているときに発生したものである。 災害発生当日は、浚渫工事の準備として、取水ゲートを開放し、ダム内の水を放出する作業が予定されていた。朝、現場に集合した3次下請のZ社の作業者A、Bの2人は、前日までに元請から指示されたとおり、取水ゲートを徐々に開放したが、15cm程開放したところでそれ以上ゲートが開かなくなったので、ゲートをいったん閉めて、Aがフーカー式潜水器を着用して潜水したところ、ゲートの周りにゴミが詰まっていた。Aは潜水しながらゴミを取り除き、午前中の作業を終えた。午後になり、ゲートを開放しダム内の水を放出する作業を再開したが、今度はゲートが30cm程開放したところでそれ以上開かなくなった。 そこで、Aがゲートの状況を点検するためゲートを開放したままで潜水し、点検していたところ、地上でAへの送気とゲートの開閉操作をしていたBと水中のAとの連絡が取れなくなった。このときAへの送気量も減ったことから、Bは元請の担当者に連絡したが、その後、駆けつけた別のダイバーが、ゲート付近でマスクが外れ溺死しているAを発見した。 Aは単独で潜水していたため、Aが溺死した状況は不明であるが、Aの潜水服にゲートと擦れた跡があったことから、Aが点検作業中にゲートに詰まっていた木の枝等のゴミがゲートから外れ、急に水が流れ出したため、Aは、水流にのみ込まれてゲートに激突し、その際、マスクが外れるとともに水流で脱出できなくなったものと推測された。Aは、安全に潜降・浮上するためのさがり綱を使用していなかった。 なお、当日、当該現場で作業していたのはZ社のA、Bの2人のみであって、元請等からの現場責任者は、不在であった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 取水ゲートを半開きのままで潜水したこと ゲートが一部開いた状態で潜水したため、ゲート付近に堆積していた土砂等の一部がゲートから流れ出して急に水の流れが生じ、この流れにのみ込まれたAがコンクリート製のゲートに激突し脱出できなくなった。 |
2 | 安全に昇降するためのさがり綱を使用していなかったこと さがり綱を使用していなかったため、水流に巻き込まれ、マスクが外れる等の異常が発生した際に浮上することができなかった。 |
3 | 単独で潜水作業を行ったこと Aは単独で潜水作業を行っていたため、作業中に異常があっても、即座にAを救出することができなかった。 |
4 | 作業および作業者に対する管理が十分に行われていなかったこと 当該作業は、3次下請の作業者2人のみで行われ、現場には元請等の現場責任者が不在で、当該作業に対する安全な作業方法等についての指示、指導が実施されていなかった。 |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 取水ゲートを開放した状態で潜水作業をしないこと 取水ゲートを一部でも開放した状態では、激しい水流が生じるため、潜水作業をしないようにする。やむを得ず取水ゲートを開放して潜水作業をしなければならない場合には、潜水作業者の体をベルトで固定する等、水流にのみ込まれないような措置を講じる必要がある。 |
2 | 潜水作業者にさがり綱を使用させること 潜水作業では、安全に潜降・浮上するためのさがり綱を現場に用意するとともに、潜水作業者にさがり綱を使用させる必要がある。 |
3 | 潜水作業では補助ダイバーを配置しておくこと 潜水作業では潜水中の作業者に異常事態が発生した場合に、すぐに対応できるように、補助ダイバーを配置するようにする。 |
4 | 作業および作業者に対する管理を徹底すること 工事の実施に当たっては、元請等の現場責任者を中心に、作業の内容および作業方法等について十分な打合せを行うとともに、現場責任者は現場に常駐し、工事を作業者まかせにしないようにする。 |