化学プラントの配管をガス溶断中、配管内のトルエンに引火し火傷
業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 引火性の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | その他の爆発・火災等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101212
発生状況
この災害は、既設の化学プラントを解体する工事において、プラントの配管をガス溶断する作業中に発生したものでる。 災害発生当日、Y社の化学プラントの解体工事を請け負ったZ社の作業者A〜Cの3人は、朝から高所作業車およびローリングタワーを使用してプラントの配管をガス溶断で解体する作業を行っていた。 午前11時頃、AとBは高所作業車の上に、Cはローリングタワーの上に、それぞれ上ってトルエンが貯蔵されていたタンクにつながっている2本の配管をガス溶断により切断し始めたところ、突然「ドーン」という音とともに、配管の下部にあるピットから炎が立ち上り、上方で作業を行っていた3人は火傷を負った。 この工事を開始する前には、高圧水による配管等の洗浄を行っていたものの、配管内のトルエンの残留を測定により確認してはいなかった。また、工事に先立ち配管の端部に閉止板を設置する等の措置を講じていなかったため、配管内に残留していたトルエンの蒸気がピット内に流れ出て滞留し、これにガス溶断の火花が落下して着火したものである。 Z社では、引火性が高いトルエンが残留しているおそれがある配管を安全にガス溶断するための作業方法の検討を事前に行っておらず、作業者に対する安全衛生教育も実施していなかった。 また、Y社は解体工事の発注に際し、Z社にタンクに貯蔵していたトルエンの危険性・有害性等の情報を提供していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 配管内にトルエンが残留していたこと 解体工事の前に高圧水により配管やタンクの洗浄を行ってはいたが、十分ではなかったため、残留していたトルエンの蒸気がピット内に流れ出て、これに落下したガス溶断の火花が着火した。 また、Z社では、洗浄した後に、トルエンの残留を測定によって確認すること、配管の端部に閉止板を設置することなどの措置を講じていなかった。 |
2 | 化学プラントの解体工事の注文者のY社がタンクに貯蔵していたトルエンの危険性・有害性等の情報を請負人のZ社に提供していなかったこと |
3 | 安全な作業方法の検討や作業者に対する安全衛生教育を行っていなかったこと 危険物であるトルエンが残留しているおそれのある配管などをガス溶断するにあたって安全な作業方法の検討や作業者に対する安全衛生教育を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業開始前に残留物の確認を行うこと トルエン等の危険物が残留しているおそれのある配管をガス溶断する場合には、あらかじめ高圧水などにより内部を十分洗浄するとともに、測定を行って残留物がないことを確認するとともに、配管の端部に閉止板を設置する。 |
2 | 化学プラントの解体等の作業の注文者は、当該設備の中の化学物質の危険性・有害性や取扱上の注意事項等の情報を請負人に提供すること |
3 | 安全な作業方法を検討し、作業者に安全衛生教育を実施すること 危険な設備の解体作業については、事前に想定される危険有害性の検討を行って安全な作業方法を決定し、作業者に対し安全衛生教育を行うことが必要である。 |