麺帯機の攪拌羽根に巻き込まれて死亡
業種 | その他の食料品製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 食品加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 動いている機械、装置等に接近し又は触れる |
No.101211
発生状況
この災害は、製麺工場で麺帯機と呼ばれる餃子の皮を製造する機械を使用して作業を行なっている時に発生したものである。 災害発生当日、作業者Aは、一人で麺帯機を使用して餃子の皮を製造することになった。Aは、麺帯機に設けられた作業ステップに上り、攪拌部分に原料の小麦粉と調味料および水を投入して、麺帯機のスイッチを入れた。Aは攪拌羽根を回転させながら、水を少量ずつ加え、麺生地の練り具合を確認していたところ、攪拌機内部で回転する攪拌羽根に誤って接触して巻き込まれた。その後、麺帯機の前にAがいないことに気づいた職長が駆け寄ったところ、すでに死亡しているAを発見したものである。 この麺帯機は、工場で20年以上使用されているもので、小麦粉等の原料を練る攪拌部分を上方に備え、練りあがった麺生地を下方から排出し、その際に帯状に成形するもので、主に餃子の皮を製造していた。攪拌部分の原料投入口には蓋が設けられているが、麺生地は、原料の小麦粉と水、調味料を攪拌し、練り具合を確認しながら、必要に応じて水を少量ずつ加えていく必要があることから、蓋にはインターロック機構がなく、蓋を開けたままで攪拌していた。 この工場には2台の麺帯機があり、もう1台の麺帯機は購入後10年のもので、攪拌部分の原料投入口には蓋のほか、攪拌中に作業者が羽根に接触することを防止する格子状のガードが設けられていた。また、2台とも作業ステップから容易に操作できる位置に非常停止スイッチを設けてはいなかった。 さらにこの工場では、麺帯機を使用した製麺作業についての作業手順書は作成していなかった。また、作業者に対し、安全な作業方法等についての教育を実施していなかったため、作業中の危険に対する作業者の意識は低かった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 原料搬入口の蓋にインターロック機構がなく、格子状のガードも設けられていなかったため、攪拌中、作業者が手を入れることができたこと |
2 | 作業位置から容易に操作できる場所に非常停止スイッチが設けられていなかったこと |
3 | 麺帯機を使用する作業の作業手順書がなかったこと |
4 | 作業者に対し安全衛生教育を実施していなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような方策が考えられる。 | |
1 | 攪拌部分の原料投入口に格子状のガードを設けるとともに、ガードと攪拌羽根をインターロックすること 麺帯機を使用する製麺作業では、攪拌しながら水を加える必要があり、攪拌中に作業者が羽根に巻き込まれることを防止するため、攪拌部分の原料投入口に格子状のガードを設けるとともに、ガードを閉めていないと攪拌ができないようにインターロックする。 |
2 | 作業位置から容易に操作できる場所に非常停止スイッチを設けること 作業者が危険を感じたときに直ちに羽根の回転を停止することができるように、作業位置から離れることなく容易に操作できる場所に非常停止スイッチを設ける。 |
3 | 麺帯機を使用する攪拌作業について作業手順書を作成すること 麺帯機を使用する製麺作業についてリスクアセスメントを実施し、必要な安全措置を講じるとともに、作業手順書を作成し、その内容を作業者に周知徹底する。 |
4 | 作業者に対し安全衛生教育を実施すること 作業者に対し作業手順書をもとに安全衛生教育を実施して、巻き込まれ等の危険やその防止対策について教育し安全な作業を行わせる。 |