鋼材切断ラインのピット内で搬送用台車とピット枠との間にはさまれ死亡
業種 | 電気通信工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 軌道装置 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 電気通信工事 | ||||
災害の種類 | 分類不能 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 憶測判断 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.101209
発生状況
この災害は、製鉄所の鋼材切断ライン下部に設けられた端材回収用台車が走行するピット内において、電気配線の交換敷設状況を確認するためにピット内に立ち入った作業者が、走行してきた台車とピットの枠にはさまれたものである。 この鋼材切断ラインは、鋼材が3組のレール上を移動し、トーチで所定の長さに切断するもので、その際に切り落とされた端材はライン下部(地下)に設けられたピット内を往復する台車で回収される。1組のレール上には台車が3両(自重:1両約3t)あり、それぞれがエンドレス状の1本のワイヤーに繋がれ、このワイヤーを電動機で巻き取ることでピット内を往復走行する。台車の軌道は平坦な直線である。 災害発生当日、製鉄所から電気配線の交換敷設工事を請け負ったZ社では、職長Aおよび作業者B〜Dの4人で作業を開始した。工事終了後、Aは、B〜Dの3人に作業現場周辺の後片づけを指示するとともに、A自身はピット内に敷設し直した電気配線が台車の走行の障害とならないか確認するためピット内に立ち入った。B〜DはAがピット内に立ち入っていることを知らず、工事のため所定の待機位置から移動していた台車を所定の位置に戻してもらうよう製鉄所の設備保全担当者Eに連絡して台車の走行操作をしたところ、直後に悲鳴が聞こえ、走行してきた台車とピットの枠との間にAがはさまれていた。Aは病院に搬送されたが、既に死亡していた。 Aが立ち入ったピットの幅は、底部が90cm、上部が120cmで、台車の幅は下部が85cm、上部が100cmであった。通常ピット内を作業者が通行することはなく、保全等のためにピット内に下りる階段が付設されていたが、階段の下り口には開閉式の柵等は設けられていなかった。なお、本設備には、台車の起動前にそれを周辺作業者に伝える警告灯や警報装置は設置されていなかった。 |
原因
この災害の原因として次のようなことが考えられる。 | |
1 | ピット内に下りる階段の下り口に開閉式の柵等が設けられていなかったこと ピット内は台車との隙間がほとんどなく、台車が走行中に作業者がピット内に立ち入るとはさまれる危険があるにもかかわらず、ピット内に下りる階段の下り口に開閉式の柵等、作業者の立ち入りを防止する設備がなかった。 |
2 | 台車の起動を周辺作業者に知らせる警告灯や警報装置が設置されていなかったこと |
3 | ピット内に立ち入ることを他の作業者に連絡していなかったこと Aはピット内に立ち入ることを他の作業者に連絡せず、かつ、台車の操作盤にも表示していなかった。 |
対策
同種災害の防止のために次のような方策が考えられる。 | |
1 | 作業者がピット内に立ち入ることを防止するための開閉式の柵等を設置すること 作業者がはさまれる危険があるピット内への立ち入りを防止するため、ピット内に下りる階段の下り口に開閉式の柵等のガードを設置する。さらに、このガードは、開放すると台車の運転を停止し、起動阻止が実行されるインターロックを構成するものとする。 |
2 | 台車の起動を周辺作業者に知らせる警告灯やサイレン等の警報装置を設置すること 台車の起動を知らせる警報は、台車の発進に気づいたピット内の作業者が退避できる十分な時間的余裕をもって発せられる必要がある。 |
3 | ピット内に立ち入る場合には、台車の運転操作者に連絡すること 保全作業等でピット内に立ち入る必要があるときは、台車の運転操作者にその旨、連絡するとともに、周辺の作業者にも連絡する。また、「ピット内立入り中」の表示を台車の操作盤とピット内に下りる階段の下り口に表示することも重要である。 |