合板用ホットプレス内で機械の可動部分にはさまれて死亡
業種 | 合板製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の木材加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不意に動かす |
No.101202
発生状況
この災害は、木造住宅用の合板を製造する工場で発生した。 災害発生当日、ホットプレスを操作して接着剤を塗布した木の板数枚を圧着して合板を製造していた作業者Aは、作業を開始して約3時間経過したとき、ホットプレスの熱盤(合板を熱圧する部分)から材料の板がはみ出ているのを見つけた。Aは、これを修正しようと、合板の取出し側からホットプレス内のプラー(合板を引き出す装置)と熱盤との間の約2.5mの幅の隙間に立ち入り、熱盤からはみ出た板の修正作業を行っていたところ、突然、背後のプラーが動き出して熱盤との間にはさまれた。隣のホットプレスで作業していた同僚がAを救出し、病院に搬送したが、Aは間もなく死亡した。 当該ホットプレスは、接着剤を塗布した木の板、数枚を圧力:8〜12kgf/cm2で圧着し、その後、接着剤を温度110〜135℃で熱硬化させて成形するもので、1度に50枚の合板を製造することができた。熱盤への材料の供給と熱盤からの合板の取出しは、自動で行われ、熱盤から材料の板や圧着した合板がはみ出たときは、これを検知してプッシャー(材料の板を供給する装置)やプラーを自動停止するようになっていたが、2ヶ月ほど前から故障し、熱盤からはみ出した板や合板が破損するトラブルが頻発していた。そのため、Aは熱盤から単板がはみ出しているのを見つけたとき、急いで修正しようとホットプレス内に立ち入ったものだが、この際、プラーの電源を遮断していなかった。 また、このホットプレスの周囲には防護柵が設けられていたが、柵の扉の開閉とホットプレスの動作とのインターロックがなく、作業者が容易にホットプレス内に立ち入ることができた。 なお、熱盤からの板や合板のはみ出しは、たびたび発生し、その都度、作業者が修正作業を行っていたが、工場では板や合板の修正作業について作業手順書は作成していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ホットプレスの周囲に設けた防護柵が不十分であったこと 工場がホットプレスの周囲に設けた防護柵が、開閉自由で、プラーの電源とのインターロックもない等、不十分なものであり、作業者が危険なホットプレス内に容易に立ち入ることができた。 |
2 | 作業者がプラーの電源を遮断しないままホットプレス内のプラーの可動個所に立ち入ったこと Aは、熱盤からはみ出した単板位置の修正作業を行う際、ホットプレスの元電源を遮断しなかったので、修正作業中に背後のプラーが動いてはさまれた。 |
3 | ホットプレスの修理を行わずに使用し続けたこと ホットプレスのプッシャーやプラーに故障があったにもかかわらず、工場は修理を行うことなく2ヶ月間、使用し続けていた。 |
4 | 修正作業についての作業手順書を作成していなかったこと 単板や合板の位置の修正作業はたびたび行われていたにもかかわらず、工場は作業手順書を作成していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業者がホットプレス内に立ち入ることができない防護柵を設けること 作業者がホットプレス内に立ち入ることができないように防護柵を設け、インターロックにより、ホットプレスが停止状態でいないと扉を開けることができないようにするとともに扉が開いている状態ではホットプレスが動き出さないようにする。 |
2 | 作業者がホットプレス内の可動個所に立ち入る際は、可動する装置の電源を遮断するよう徹底すること 作業者が熱盤からはみ出した板の修正作業を行うためにホットプレス内のプラーの可動個所に立ち入るときは、プラーの電源を遮断するとともに、電源を入れないよう表示する。 |
3 | ホットプレスに不具合が見つかったときは直ちに修理すること |
4 | 修正作業についての作業手順書を作成すること 合板位置の修正作業等、頻繁に発生する作業については、作業手順書を作成して文書化するとともに、関係作業者に対して安全衛生教育を行って作業手順書の内容を徹底する。 |