プレス機械で作業中、加工品を上型から外すために置いた安全ブロックが飛来し死亡
業種 | 金属プレス製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | プレス機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 憶測判断 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.101200
発生状況
この災害は、金属製品を製造するZ社で、プレス機械(200tダブルクランクプレス、両手操作式)を使用してステンレス板の端部曲げ加工の作業を行っているときに発生したものである。 この加工作業では、加工品が上型から外れにくいため、バールを上型と加工品の間に差し込み外していたが、めんどうに思った作業者Aは、金型交換の際に使用する安全ブロックを据え付けてプレス機械を安全一工程で起動し、上型を安全ブロックにぶつけて加工品を落とす方法を思いついて採用していた。Aは、災害発生当日もいつものように下型の周囲2ヶ所に安全ブロックを置き、プレス機械を起動させて加工品を落としながら作業を行っていたが、何回目かの作業の時、降下した上型が安全ブロックを弾き飛ばし、そのうちの一つがプレス機械の正面にいたAに激突した。異音に気づいた周囲の作業者がAを救出し、直ちに病院に搬送したが、死亡した。Aが使用するプレス機械による作業の状況やAが安全ブロックをセットしている状況に周りの作業者は誰も注意を払っていなかった。 Z社では、プレス機械を10台使用していたが、プレス機械作業主任者を選任していなかった。また、作業者に対する安全衛生教育も十分行われていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 加工した製品が金型から簡単に取り外せない構造となっている等、金型設計時における安全面や作業効率上の配慮が十分でなかったこと |
2 | 上型を安全ブロックに激突させて加工品を上型から外すといった非常に危険な方法で作業を行ったこと |
3 | プレス機械を10台使用しているにもかかわらずプレス機械作業主任者を選任することなく、プレス作業を行う等、安全管理体制に問題があったこと |
4 | Aがプレス機械の危険限界内に安全ブロックを置いて作業しているのを発見できなかったこと |
5 | 作業者に対し、プレス作業の危険性等についての安全衛生教育が十分行われていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |||||||||||
1 | 金型を加工品が容易に外れるような構造にする等、金型の設計段階で十分な対策を講じるとともに、金型に不備があった場合は迅速に発見して必要な改善措置を講じること | ||||||||||
2 | 安全ブロックは金型取り付け等非定常作業において使用するものであり、加工品の取り外しは、バール等の工具を用いる等作業に応じた安全な方法によること | ||||||||||
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4 | プレス機械作業主任者が作業を指揮し、作業中の機械の誤った使用等、作業者の不安全な行動を発見した場合は、直ちに是正させること | ||||||||||
5 | 作業者に対し、プレス作業の危険性、安全な作業方法等についての安全衛生教育を十分行うこと |