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労働災害事例

チップ製造機の刃の取替え作業中、巻き込まれ死亡

チップ製造機の刃の取替え作業中、巻き込まれ死亡
業種 その他の林業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の木材加工用機械
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 技術的、肉体的な無理
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 危険場所に近づく

No.101198

発生状況

 この災害は、不要な木材から製紙用のチップを製造する工場で発生した。
 災害発生当日、作業者Aは、チップ製造作業の開始前にチップ製造機の回転体の刃6枚を全て交換した後、チップ製造機を連続運転モードにし、原料の木材をチップ製造機に投入できる大きさに切断し、チップ製造機へ投入する作業を行っていた。チップ製造機の刃の交換は、通常、作業開始前と午後の作業中の1日に2回行っているが、当日は午後から大量の木材が搬入され、切断作業が忙しくなるため、午後の作業が始まる前に2回目の刃の交換を行うことにした。
 Aは、普段どおり、チップ製造機の電源を切り、点検口から刃を交換した後、チップ製造機を起動した。その後Aは、刃の取り付け状況を確認するため、点検口から内部の回転体をのぞいていたところ、足を滑らせて点検口から機械内部に転落し、回転体に巻き込まれた。Aは、救出された後、病院に搬送されたが、死亡した。
 点検口には、安全カバーが取り付けられているが、被災時にはカバーが開いた状態であった。刃の交換作業は、通常、Aが一人で行っていたが、安全な作業方法を定めた作業手順書はなかった。

原因

 災害の発生原因として、次のことが考えられる。
1  点検口の安全カバーが開いていても、機械の回転体等の可動部が起動できるようになっていたこと
2  点検口が機械の上に向いて開いており、作業者が転落する危険があったこと
3  刃の交換作業についての作業手順書がなかったこと

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  点検口の安全カバーが閉じている場合のみ回転体等の可動部を起動できるようなインターロック機能を設けること
 点検口に設ける安全カバーは、閉じているときのみ、内部の回転体等の可動部を起動できるようにインターロックするとともに、内部の可動部が動いているときはカバーをあけられないようにする。
 さらに、安全カバーには、閉じた状態でも内部を確認することができるように例えば、アクリル板等による窓を設けることも必要である。
2  刃の交換作業が容易に行えるように点検口を安全な位置に設けること
 刃の交換作業を行う点検口は、作業を容易に、かつ、内部に転落するおそれのないよう、安全に行うことができるような位置に設けるようにする。
3  刃の交換作業等の非定常作業も含めた作業手順書を作成すること
 刃の交換作業等の非定常作業も含め作業全体について、リスクアセスメントを実施して危険性を確認するとともに、安全に作業を行うための措置を検討して作業手順書を作成する。さらに、作業手順書の内容について作業者に教育を行うことも重要である。