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労働災害事例

車両積載形トラッククレーンのアウトリガーが破損してトラッククレーンが横転

車両積載形トラッククレーンのアウトリガーが破損してトラッククレーンが横転
業種 産業廃棄物処理業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 移動式クレーン
災害の種類(事故の型) 激突され
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) その他
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 機械、装置等を指定外の方法で使う

No.101195

発生状況

 この災害は、車両積載形トラッククレーン(以下「トラッククレーン」という。)の荷台に建築廃材を入れたコンテナを積み込もうとしたときにアウトリガーが破損してトラッククレーンが横転したものである。
 災害発生当日、建築現場の廃材回収用コンテナ(鋼製、3m×2m、高さ1m)が満杯になったので、このコンテナをトラッククレーン(つり上げ荷重2.3t)の荷台に積み込む作業を、作業者AおよびBの2人で行っていた。
 トラッククレーンは、ほぼ平坦な敷地に駐車し、アウトリガーは車両右側を半張り出し、車両左側を全張り出しにして、それぞれ敷板の中央で支えた。
 Aがトラッククレーンの車両左側で無線操作により運転し、Bが車両左側にあるコンテナ(重量1.7t)に玉掛けした。Aは、地切りして荷の安定を確認した後、荷台より少し高くコンテナをつり上げ、次に、荷台に積み込むため荷台後方に向けてジブを旋回および起伏していたところ、車両左側のアウトリガーが折損してトラッククレーンが左側に横転し、逃げ遅れたAが下敷きになった。Aは、病院に搬送され、そのまま入院した。
 作業を行っていたAおよびBは、それぞれの作業に必要な小型移動式クレーン運転技能講習および玉掛け技能講習を修了していなかった。この会社には、資格のある作業者は数名在職していたものの十分な人数ではなく、他の作業者に新たに資格を取得させることなく、日常的に無資格者にトラッククレーンの運転や玉掛けを行わせていた。

原因

 この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1  過荷重になったこと
 災害発生時の作業半径3m、ジブ角度は50度であり、この時の定格荷重は1.3tである。つり上げたコンテナの質量は1.7tのため過荷重であった。
 このためアウトリガーが折損し、トラッククレーンが横転した。
2  無資格者にトラッククレーンの運転や玉掛け作業を行わせたこと
 AおよびBは、それぞれの作業に必要な小型移動式クレーン運転技能講習および玉掛け技能講習を修了していなかった。

対策

 同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  過荷重を防ぐこと
 つり荷の重量に応じたつり上げ荷重のトラッククレーンを準備し、作業半径に応じた定格荷重を超えないように使用する。
2  作業に必要な小型移動式クレーン運転技能講習および玉掛け技能講習を修了した者に作業を行わせること
 法令上必要な資格の取得は、最低限必要なことであり、資格取得を通じて基本的な事項を理解させる。