水産加工工場で「ゆで釜」に点火したときに爆発
業種 | 水産食料品製造業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の危険物、有害物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 換気の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 近道反応 | |||||
発生要因(管理) | 確認しないで次の動作をする |
No.101190
発生状況
この災害は、水産加工工場においてシラス(かたくちいわしの稚魚)をゆでる釜の重油バーナーに点火したときに発生したものである。 この水産加工工場では、数人の作業者がシラスを釜でゆで、天日で乾燥するという加工作業を行っている。 災害発生当日、作業者Aが釜に海水を入れ、重油バーナーの点火スイッチを入れたところ、煙突から黒い煙が上がった。 しかし、通常は白色〜灰色の煙であるため、Aはいったんバーナーの火を消し、燃焼室およびバーナーを掃除した後、再度スイッチを入れ直したところ、爆発音とともに煙道や煙突の一部が破損した。このときAは、飛来した煙突のレンガ片が当たり負傷した。 Aがバーナーを再点火する前に、煙道や煙突の換気を十分に行っていなかった。そのため、煙道および煙突の内部に最初の点火不良の際に気化して残っていた重油に再点火の炎が引火して爆発したものであった。 また、この工場では、煙道や煙突の定期的な掃除を行っておらず、その内部には重油が燃焼した際に生じるすすが詰まっており、このため、点火時に不完全燃焼が起こりがちであった。 さらに、この工場では、再点火を含む点火作業の作業手順書、バーナー、燃焼室、煙道および煙突の点検基準は作成していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 再点火前に十分な換気を行わなかったこと 重油バーナーに再点火する前に、煙道および煙突内部の換気を十分行わなかったため、最初の点火不良の際に気化して残っていた重油に再点火の火が引火して爆発した。 |
2 | バーナー、煙道等の掃除・点検を実施していなかったこと 重油バーナー、煙道等の定期的な掃除・点検を実施していなかったため、煙道および煙突の内部にすすが詰まって燃焼ガスが十分に排気されなくなり、最初の点火時に不完全燃焼を起こした。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 重油バーナーに再点火する際に燃焼室、煙道等を十分に換気すること 重油バーナーの点火がうまくいかず、再点火を行う前には、燃焼室、煙道および煙突内の換気を十分行う。また、再点火を含む点火作業の作業手順書を作成し、作業者に十分教育しておくことも重要である。 |
2 | 重油バーナー、煙道等の定期的な掃除・点検を行い、必要な修理等を行っておくこと 重油バーナー、燃焼室、煙道および煙突は、定期的な掃除・点検を実施し、不具合等があれば直ちに修理等を行うとともに、内部にすすなどが詰まらないように維持管理すること。 さらに、これらの設備の点検基準を定め、関係作業者に周知徹底することも重要である。 |