厨房でフライヤーの揚げカスを取り除く作業中、飛散した油でやけど
業種 | その他の小売業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の装置、設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業箇所の間隔空間の不足 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101187
発生状況
この災害は、惣菜を販売する店舗の厨房において、揚げ物用のフライヤーの油槽にたまった揚げカスを取り除く作業において発生したものである。 災害発生当日の午後7時頃、作業者A〜Cの3人は、当日中に販売する惣菜の調理を終えたので、厨房の清掃作業に取りかかった。Aは、油槽にたまった揚げカスを取り除くため、フライヤーの電源を落とし、油槽内の油(170℃、30L)を自然冷却した。約30分後、Aはフライヤーのヒーターを油槽から持ち上げるためのレバーを押し上げ、金具で固定し、すくい網を使用して揚げカスを取り除いた。その後、ヒーターを元の位置に戻すため、レバーを手で支えながら金具から外したとき、レバーに付着していた油で手が滑り、ヒーターが油槽に落下して油が跳ね、Aは油を浴びて火傷を負った。また、Aと一緒に厨房内で作業をしていたBとCも油を浴びて火傷を負った。 フライヤーの油を加熱するためのヒーターは、もともと油圧により上下動し、急激に落下するおそれのないものであったが、この店舗では厨房が狭く、ヒーターを上下させる油圧装置が邪魔になることからこれを取り外し、手動で上下させるように改造していた。 また、厨房を清掃中のA〜Cの服装は、調理中のままで、飛散する油から身体を防護するような手袋等を着用していなかった。 なお、この店舗では、店長Dを安全衛生推進者に指名していたが、フライヤーから油かすを取り除く作業を含めた厨房の清掃作業についての作業手順書を作成しておらず、作業者に対し高温の油による火傷の危険性等についての安全衛生教育を実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ヒーターの上下動が油圧によるものから手動に改造されていたこと フライヤーの油を加熱するためのヒーターは、もともと油圧により上下動していたものを、手動で上下させるように改造していた。そのため、ヒーターを上下させる際、付着した油により手が滑り急激に落下するおそれが生じていた。 |
2 | 清掃作業において油が飛散したときに防護するような服装をしていなかったこと |
3 | フライヤーから油かすを取り除く作業について作業手順書がなかったこと |
4 | 高温の油の取扱い等について作業者に対し安全衛生教育を実施していなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ヒーターが急激に落下しないよう改善すること 油圧によりゆっくり上下動するものにもどす等、ヒーターが急激に落下しないようフライヤーを改善する。 |
2 | 高温の油の飛散による危険を防護できる服装をさせること |
3 | 揚げカスを取り除く作業について、作業手順書を作成し、作業者に徹底すること |
4 | 高温の油の飛散による危険性、器具の取扱による危険性、作業手順などについて、作業者に対し定期的に安全衛生教育を実施すること |