植木の枝切り作業中に脚立から転落し死亡
業種 | その他の事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | はしご等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 安全帯を備え付けていない | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101186
発生状況
この災害は、造園業者の作業者が小学校の植木の枝切り作業中に転落したものである。 災害発生当日の朝、造園業を営むZ社の社長Aおよび作業者B〜Dは、高所作業車、パッカー車、軽トラックに分乗して、当日の作業場所である小学校に到着した。この小学校では植木15本の枝切りを1日で行うことになっており、A〜Dの4人は、作業前にAの指示を受け作業分担等を確認した後、それぞれが指示された植木の枝切り作業を開始した。 被災者Bが指示された作業内容は、2本の植木(高さ約6m)の枝切りで、作業方法は植木の高い部分は高所作業車を用い、それより低い部分は脚立を使用して枝を切ることであった。 作業を開始して1時間ほど経過した頃、Bに最も近い位置で別の植木の枝切りを行っていたCは、Bの悲鳴と転落音を聞き、急いでその場所に駆けつけてみると、Bが作業を行っていた植木の下で高さ3.5mの脚立ごと倒れているのを発見した。Bは、直ちに病院に搬送されたが、1週間後に死亡した。 Bが直前に枝を切っていた個所は、植木の高さ5mのところであったが、現場に持ち込まれた高所作業車は他の作業者が使用していたため、Bは脚立で約3mの高さまで登って作業していた。Bは保護帽を着用していたが、墜落防止のための安全帯を使用しておらず、脚立とともに転落したものであった。Bが使用していた脚立は、はしごに1本の棒を取り付けたような形をしており、枝切り用三脚と呼ばれているものであった。この脚立は1本の棒で支えられており、不安定であったが、Bは脚立を植木の幹に固縛する等の転倒防止措置をしないまま作業していた。 作業前の打合せでは、Aは当日の各作業者の分担を指示し、また、枝切りする木の高さに応じた機材の使用や作業方法の指示は行っていたが、脚立作業時の転倒防止措置、作業者の墜落防止措置、高所作業車の使用計画等については指示を行っていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。 | |
1 | 高さ5mの個所の枝切りを不安定な脚立に登って行っていたこと 高さ5mの個所の枝切り作業を行う際、現場に持ち込んでいた高所作業車を他の植木の枝切り作業に使用していたため、Bは高さ3.5mの脚立を使用せざるを得なかった。 しかも、使用していた脚立はその構造上、不安定であったにもかかわらず、植木の幹に固縛する等の転倒防止措置を講じていなかった。 |
2 | 作業者の墜落防止措置を講じていなかったこと Bが墜落する直前の足の位置は地面から3mの高さであったが、安全帯の使用等、墜落防止のための措置を講じていなかった。 |
3 | 安全措置の指示や作業計画が明確でなかったこと Aは、当日の作業開始前に各作業者の分担を指示し、また、枝切りする木の高さに応じた機材の使用や作業方法の指示は行っていたが、脚立を使用する場合の安全措置(作業者の墜落防止措置および脚立の転倒防止措置)については指示を行っていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 枝切りに不安定な脚立を使用する場合は、脚立の転倒防止措置を講じること 植木の枝切り作業等の高所作業において足場として使用する脚立は、使用時に転倒して危険が生ずることがあるので、できるだけ安定なものを使用し、不安定なものを使用せざるを得ない場合は、植木の幹に脚立を固縛するか、補助作業者が脚立を支えながら作業するようにする。 |
2 | 作業者の墜落防止措置を講じること 墜落災害は、脚立を使用した作業でも多く発生しているので、高さが2mを超える高所作業については、作業開始前に安全帯の使用等、墜落防止措置について具体的に指示するともに、作業中は墜落防止措置の実施状況を監視する。 |
3 | 安全措置の指示や作業計画を明確にすること 植木の枝切り作業においては、作業開始前に高所作業に伴う脚立の転倒防止措置や作業者の墜落防止措置について具体的に指示する。また、現場に持ち込んだ高所作業車の使用や作業者の配置等も含めた作業計画を明確にしておくことも重要である。 |