産業廃棄物の選別作業中、ショベルローダーに激突され死亡
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 整地・運搬・積込み用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101182
発生状況
この災害は、産業廃棄物処理リサイクルセンターの選別作業場において発生したものである。 選別作業場では、作業者5人で、ショベルローダーおよびドラグ・ショベルが作業場中央に積み上げた廃棄物を木材、コンクリート砕、紙、電線類、金属屑、可燃ゴミ、不燃ゴミ等に選別し、選別作業場の周囲に区画されている場所へ置く作業を行っていた。 災害発生当日は、朝8時頃から作業が開始され、通常どおりショベルローダーおよびドラグ・ショベルによる廃棄物の搬入と作業者による廃棄物の選別作業を行っていた。 作業者Aは、ゴミの中から電線を取り出す作業を行っていたが、取り出した電線を所定の場所へ置きに行こうと、作業場中央付近で作業中のショベルローダーの後方を横切ったとき、ショベルローダーが後退してきたため、Aは右後輪にひかれ死亡した。 ショベルローダーは、選別前の廃棄物を移動するため、作業場中央付近で10m程度の前後進を繰り返していた。作業場では、ショベルローダーの作業エリアと作業者の通路が区別されておらず、また、ショベルローダーの誘導者も配置していなかった。 また、災害が発生したとき、ショベルローダーの運転者は前照灯および後照灯を点けておらず、また、ショベルローダーの後退灯と警報装置は故障していた。 なお、事業場では、ショベルローダー等を使用する廃棄物の搬入作業および人力による廃棄物の選別作業についての作業手順書を作成していなかった。このため、作業者は、ショベルローダー等と同じ場所で混在して作業することの危険性を認識していなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ショベルローダー等と作業者との混在作業を行っていたこと 作業者が廃棄物の選別を行っている場所で、ショベルローダーおよびドラグ・ショベルによる作業を混在して行っていた。 |
2 | ショベルローダーの点検整備を行っておらず、ショベルローダーの安全機器が故障していたこと 点検整備が行われていなかったためショベルローダーの後退灯と警報装置が故障しており、さらに運転者が前照灯および後照灯を点けていなかったことから、周囲の作業者はショベルローダーの動きを把握しにくい状況であった。 |
3 | ショベルローダー等を使用する作業および人力による廃棄物の選別作業についての作業手順書を作成していなかったこと 事業場が、ショベルローダー等を使用する作業および廃棄物の選別作業についての作業手順書を作成していなかったため、作業者はショベルローダーと同じ場所で混在して作業することの危険性を認識していなかった。 |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ショベルローダー等の車両系荷役運搬機械や車両系建設機械と作業者との混在作業を行わないこと ショベルローダー等の車両系荷役運搬機械やドラグ・ショベル等の車両系建設機械を使用する際は、運行経路を定め、当該車両の作業範囲に作業者を立ち入らせないことが必要である。 なお、作業者を立ち入らせる必要がある場合は、車両の誘導者を定め、その者に車両を誘導させるようにする。 |
2 | ショベルローダー等については、必要な点検整備を行い、故障等については直ちに修理すること 作業開始前の点検を行うとともに月例、年次の定期自主検査を実施し、その結果、故障等があった場合は直ちに修理する。 特に、前照灯、後照灯、後退灯、警報装置等の安全装置に異常があった場合は、修理しない限り使用しないようにしなければならない。 |
3 | 作業手順書を作成すること ショベルローダー等を使用する作業および人力による廃棄物の選別作業についての作業手順書を作成し、その内容を作業者に徹底する。 |