ギャングリッパーに木材を送給中、反発した木材が作業者に当たり死亡
業種 | 製材業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 丸のこ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.101179
発生状況
この災害は、製材工場において、ギャングリッパーで木材の小割り作業を行っているときに発生したものである。 災害発生当日、作業者AとBは、ギャングリッパーによる木材の小割り作業を担当した。まず、Bが同機械の反発防止爪、のこ歯、駆動用チェーンなどについて作業前点検をした後、作業に取り掛かった。このとき、木材の送給作業をBが、小割りされた木材を商品と廃材に分ける作業をAが、担当した。 午後も、午前中と同じ役割で小割り作業を行っていたが、午後4時頃、2人は役割を交替した。Aが投入用コンベアの正面に立ち、木材を2枚重ねて送給したところ、木材が反発してAに当たった。Aは、病院に搬送されたが間もなく死亡した。 ギャングリッパーに木材を2枚重ねて送給したため、反発防止爪が機能しなくなり、木材が反発したものであった。 この事業場では、木材の小割り作業についての作業手順書を作成していなかった。また、ギャングリッパーを使用する作業の安全な作業方法等について作業者に安全衛生教育を実施していなかった。 さらに、この事業場では、木材加工用機械作業主任者に職長Cを選任していたが、Cはギャングリッパー等、木材加工用機械の点検を作業者任せにし、点検結果の確認もしていなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業者に対し、安全衛生教育を行っていなかったこと Aはギャングリッパーの安全な作業方法等についての安全衛生教育を受けていなかったため、安全な作業方法を知らなかった。そのため、木材を重ねて送給したことから反発防止爪が機能せずに木材が反発した。さらに、Aが投入用コンベアの正面に立っていたので、反発した木材を避けることができなかった。 |
2 | 作業手順書を作成していなかったこと この事業場では、ギャングリッパーによる木材の小割り作業を安全に行うための作業手順書を作成していなかった。 |
3 | 木材加工用機械作業主任者がその職務を遂行しなかったこと 職長Cは木材加工用機械作業主任者に選任されていたにもかかわらず、ギャングリッパー等、木材加工用機械の点検を作業者任せにし、その結果も確認していなかった。 |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業者に対し、安全衛生教育を行うこと ギャングリッパーによる小割り作業では、木材を重ねて送給すると反発防止爪が機能しないおそれがあるため、これを未然に防止するための安全な作業方法等について安全衛生教育を行う。 |
2 | 作業手順書を作成すること ギャングリッパー等の木材加工用機械を使用する作業については、安全な作業方法等を盛り込んだ作業手順書を作成し、その内容を作業者に周知し確実に実行させる。 |
3 | 木材加工用機械作業主任者に必要な職務を行わせること 工場は、木材加工用機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから、木材加工用機械作業主任者を選任し、次の職務を行わせる必要がある。 [1] 木材加工用機械を取り扱う作業の直接指揮 [2] 木材加工用機械およびその安全装置の点検 [3] 木材加工用機械およびその安全装置に異常を認めたときに、直ちに必要な措置をとること [4] 作業中、治具、工具等の使用状況の監視 |