自動送り装置を備えた丸のこ盤で木材を切断中、木材が飛び出して作業者に激突し死亡
業種 | 合板製造業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 丸のこ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) | 動いている機械、装置等に接近し又は触れる |
No.101176
発生状況
この事業場では、住宅に使用する棚板や壁版等の合板を製造する作業を行っていた。 災害発生当日、作業者A〜Cの3人は、合板の製造作業にとりかかり、断熱材の上下に化粧版を接着剤で貼り合わせ、圧着機械を用いてプレスする方法で、長さ約150cm、横幅40cm、厚さ2cmの合板100枚を製造し、乾燥工程に移した。 その後、A〜Cの3人は、3日前に圧着を終え、乾燥させていた同じ大きさの合板を所定の寸法に裁断する作業を開始した。この作業は、ダブルエンドテノーナー(自動送り装置を備え、木材の両端を一度に切断する丸のこ盤)を使用し、合板の両端近くを上下のベルトではさんで送り込み、2つの丸のこで両端部を同時に切断していくものであった。 約40枚の合板を切断したとき、丸のこ盤に送り込まれた合板が丸のこの歯に接触した際に合板の一端が自動送り装置から外れ、合板が回転しながら飛び出し、合板を受け取る側にいたAに激突した。Aはすぐに病院に搬送されたが死亡した。 災害発生後、自動送り装置を分解したところ、合板を上下からはさんで送り込むゴム製のベルトのうち、上面ベルトが磨耗しているのが発見された。このベルトの磨耗のため、合板を押え付ける力が不足し、合板が丸のこの歯に当たったときの衝撃で合板がベルトから外れて飛び出したものであった。 この丸のこ盤には、加工材が飛び出したときに付近の作業者に当たることのないようにするための防護用の設備がなく、作業者の安全な作業位置も決めていなかった。 この事業場では、木材加工用機械を5台以上有していたものの木材加工用機械作業主任者を選任しておらず、作業の直接指揮を行う者がいなかった。また、この事業場では、当該機械の点検を機械の販売店に依頼して月に1回程度行っていたが、点検用チェックリストはなく、外観目視点検だけによっていた。 |
原因
この災害の原因として、次の事項が挙げられる。 | |
1 | 丸のこ盤の点検が確実に行われていなかったため、上面送りベルトが磨耗していることを発見できなかったこと |
2 | 木材加工用機材作業主任者が選任されておらず、作業の直接指揮、丸のこ盤やその安全装置の点検等を行っていなかったこと |
3 | 加工材が飛び出したときに付近の作業者に当たることのないようにする防護用の設備がなく、安全な作業位置を決めていなかったこと |
対策
このような災害を防止するためには、次のような対策が必要である。 | |||||||||||
1 | 丸のこ盤等の木材加工用機械については、点検を確実に行い、磨耗や異常を認めたときは直ちに交換、補修等を行うこと 点検の実施に当たっては、点検責任者、点検時期、点検項目等を記載したチェックリストを作成し、これに基づき確実に実施することが重要である。 |
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3 | 自動送り装置つきの木材加工用機械から加工材が飛び出すことによる危険を防止するため、防護用の設備を設け、また安全な作業位置を決めておくこと |