CNC施盤に巻き込まれて死亡
業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 旋盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101174
発生状況
この災害は、労働者数3名の機械部品を製造する事業場で、CNC施盤を使用して機械部品の加工を行っている時に発生したものである。 災害発生当日、作業者Aは、朝から1人でCNC施盤を用いて機械部品の加工作業を行ったが、設計値よりも大きすぎたので、さらに切削加工することが必要になった。 そのため、加工プログラムの設定、CNC旋盤による加工、誤差補正等をして2回の加工を行ったが、なお設計値より1/100mm大きかったので、午後からはそれを調整するため、加工中の機械部品をCNC旋盤にセットして回転させながら、手にサンドペーパーを持って研磨する作業を行った。 午後の作業開始から間もなくして、「ドスン」という大きな音がしたので、他の作業を行っていた同僚が駆けつけると、AがCNC旋盤内で倒れていた。その後、Aは救急車で病院に搬送されたが、約2時間後に死亡した。 Aは、軍手をしてサンドペーパーで研磨作業を行っていたところ、軍手が機械部品に引っかかり、巻き込まれたものであった。 この会社では、受注した加工物に対応した作業に使用する機械、作業方法、作業に関する禁止事項等について、会社として検討し作業手順書を作成することなく、作業者の判断に任せて作業を行わせていた。 さらに、この会社では、作業者に対する基本的な安全衛生教育、経営者による職場の巡視等の安全衛生管理を実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。 | |
1 | サンドペーパーを手に持って、これを回転する加工物に当てて研磨する作業を行ったこと 回転する施盤の刃等機械部品に手が触れて巻き込まれるおそれのある危険な作業を行った。 |
2 | 軍手を着用して回転する加工物を研磨する作業を行ったこと Aは、軍手を着用し、サンドペーパーを持って研磨したため、回転する施盤の刃等機械部品に軍手が引っかかり、そのまま巻き込まれた。 |
3 | 作業手順書を作成せず、作業者任せで作業を行わせていたこと この会社では、受注した加工物に対応した作業に使用する機械、作業方法、作業に関する禁止事項等について会社として検討した作業手順書を作成することなく、作業者の判断に任せていた。このため、上記1および2の危険な作業を禁止していなかった。 |
4 | 安全衛生管理が不十分だったこと この会社では、作業者に対する基本的な安全衛生教育、経営幹部等による職場の巡視等の安全衛生管理を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 高速回転中のものに手を近付けて作業を行わせないこと 回転する加工物のサンドペーパーでの研磨作業は、サンドペーパーを可動式の支持台に装着して加工物に押し付けて行う等の安全な方法で行わせる。 |
2 | 手袋の使用を禁止すること 高速で回転する刃等の機械部品に直接または接近して行う作業については、手袋を使用することによって巻き込まれるおそれがあるので、その使用を禁止する。 |
3 | 作業方法等を事前に検討し、作業手順書を作成すること 物の加工作業を行う場合には、使用する機械、冶具、必要な安全装置等について、あらかじめ会社として検討のうえ作業方法を決定し、作業手順書を作成し、これを関係作業者に教育する。 特に、加工物の精度を出すための作業については、通常の加工と異なる方法によって行うことも少なくないので、作業方法、禁止事項等について、よく検討し、作業手順を決定する。 |
4 | 安全衛生管理を行うこと 10人未満の規模の事業場であっても、職場の安全衛生管理を担当する者を指名し、作業者に対する安全衛生教育の実施、定期および随時の職場巡視等による作業実態の確認と必要な指導等を行わせる。 |