可搬式グラインダーの砥(と)石が割れて当たり死亡
業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 研削盤、バフ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | その他の飛来・落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 近道反応 | |||||
発生要因(管理) | 欠陥のある機械、装置、工具、用具等を用いる |
No.101173
発生状況
この災害は、鉄骨造り建物の新築工事において、天井ボードの切断作業を行っているときに発生したものである。 当日、午前8時頃、下請業者の職長Aと作業者2人の計3人が現場に入り、前日までに終了した内装工事の後片付けをしていた。その後、12時前に、元請の担当者Bから天井に点検口を設置するよう指示されたAは、点検口の設置は自分ひとりで行うこととして、午後1時から作業を始めた。このとき、他の作業者2人には午前中に行っていた片づけ作業を続けるよう指示した。 作業は、点検口を設置する天井の下に置いた脚立と積み重ねた床材にAが乗り、可搬式グラインダーで天井に切れ込みを入れて開口部を設ける方法で行われた。作業を始めて30分ほど経過したとき、グライダーの研削砥石が天井ボード裏の金属製下地材に接触して割れ、飛来した砥石の破片が作業者に当たって被災したものである。Aは防護面などの保護具を使用していなかった。 Aが使用していた可搬式グラインダーは、砥石の覆いがなく、割れた砥石の飛来を防止することができなかった。また、砥石がグラインダーの性能に適合しておらず、最高使用周速度を超えて使用していた。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業個所の状況を確認しないまま、切断作業を行ったこと Aは、切断する天井ボードの裏の状況を確認しないまま作業を開始し、ボード裏の金属製下地材に気づかず、これに砥石が接触して割れ、飛散した。 また、作業指示をしたBも天井ボードの裏の状況については説明していなかった。 |
2 | 研削砥石の覆いがない可搬式グラインダーを使用したこと 覆いがなかったため、飛散した砥石を防ぐことができなかった。 |
3 | グラインダーの性能に合わない研削砥石を使用したこと グラインダーに適合しない砥石を使用したため、砥石の最高使用周速度を超えて使用した結果、軽く接触しただけでも砥石が耐えられる以上の力が加わり飛散した。 |
4 | 保護具を使用していなかったこと Aが防護面を使用していなかったため、負傷の程度が大きくなった。 |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業開始前に現場の状況を十分に確認し、作業に適した工具を使用すること 作業を始めるに当たって、作業個所の状況を見えない部分も含めて確認し、状況に適した工具を選定して作業する。 また、作業指示者もあらかじめ状況を確認して、指示の際に確認した状況を説明する。 |
2 | 現場に持ち込む工具は、点検を行い、基準に合っていないものは使用しないこと 現場で使用する工具類は、あらかじめ点検を行い、覆いが欠けている等の不具合があるものは現場に持ち込まないようにする。 |
3 | グラインダーに適合した研削砥石を使用すること 研削砥石には、それぞれ最高使用周速度が決められている。最高使用周速度を超える回転数で使用すると、砥石が割れるおそれがある。このため、グラインダーの回転数を確認し、適合している最高使用周速度の研削砥石を使用することが必要である。 |
4 | 必要な保護具を使用させること 作業を計画するときには、予想される労働災害を防止するために必要な保護具を決め、作業者には作業中必ず使用させる。 |