タイヤ製造工場で成形機の点検中、高圧熱水が噴き出し被災
業種 | ゴム製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の装置、設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.101172
発生状況
この災害は、タイヤ製造用の熱加硫圧縮成形機(以下「成形機」)において、製造作業終了後に成形機の異常箇所を点検しているときに発生した。 当該成形機は、タイヤを内側から加圧するゴム製の袋を上下に分割された金属製リングを用いてタイヤにセットし、さらにこの状態のタイヤを上下に分割された金型で外側から挟み込み、タイヤの内側のゴム製の袋に高圧の熱水を注入することで、タイヤの熱加硫と圧縮成形を行う設備である。 災害発生当日、成形機を使用してタイヤを製造中に高圧熱水が漏れるというトラブルが発生したため、製造終了後、成形機の上蓋を開けたまま、作業者AとBの2人がゴム製の袋に製造時と同じ高圧熱水を注入して漏れ発生箇所を確認していたところ、タイヤ内側の金属製リングの固定金具が外れて高圧熱水が吹き出し、AとBに降り掛かるとともに、タイヤが急激に膨張して上方に持ち上がり、その反動で2人は跳ね飛ばされた。このとき、Aは火傷を負い、Bは跳ね飛ばされて負傷した。 金属製リングの固定金具は、それ単体で高圧熱水の注入に耐えられる強度には設計されてはおらず、このことは取扱説明書に明示されていた。また、成形機には、上蓋を開けたままでは高圧熱水を注入できない安全装置が備えられていたが、トラブル処理の際、邪魔になることから以前から無効化されたままになっていた。なお、工場では、このような異常時の確認作業のための作業手順書を定めていたが、守られてはいなかった。 |
原因
この災害の原因として次のようなことが考えられる。 | |
1 | 成形機の上蓋を開けたままでは高圧熱水を注入できない安全装置が備えられていたが、無効化されていたこと |
2 | 金属製リングの固定金具の耐圧強度が取扱説明書に明示され、また、このような異常時の確認作業のための作業手順書を作成していたが、これらが守られていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 成形機の上蓋を開けたままでは高圧熱水を注入できない安全装置を無効化できないものとすること 成形機の安全装置を作業者には無効化できないようにするためには、例えば、成形機の上蓋を閉めることで挿入される専用のピンが挿入されないと高圧熱水が注入されない構造の装置がある。 また、成形機の上蓋を開けて水漏れの確認作業を行う必要がある場合は、高圧熱水を使わなくてもできるよう設備を改善する。 |
2 | 機械装置の取扱説明書および異常時の確認作業の作業手順書の内容を作業者に徹底すること |