木工用丸のこ盤でアルミ板を切断中、のこ歯に接触し死亡
業種 | 自動車・同付属品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 丸のこ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 切れ、こすれ | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101170
発生状況
この災害は、自動車の修理工場において、建設機械の部品であるアルミニウム製縞板(表面に連続した滑り止め用の突起を付けた板)を木工用の携帯用丸のこ盤で切断しているときに発生したものである。 災害発生当日、作業者Aは、工場長Bより建設機械のバッテリー用カバー製作を1人で行うよう指示を受けた。作業内容は、すでに切断され山型に成型加工されたアルミニウム製縞板(430mm×840mm、厚さ2.5mm)を2枚に切断するものであった。そこで、Aは万力にアルミ板を固定し、携帯用の木材加工用丸のこ盤(のこ歯の外径190mm)でアルミ板を切断していたところ誤ってのこ歯に接触し被災した。近くにいたBがすぐに救急車を呼んで病院に搬送したが、数時間後に死亡した。 Bは、作業の前に適切な作業方法の検討を行った上で作業計画を定めることを行っておらず、また、Aに対して安全な作業を行うための指示もしていなかった。また、切断に使用した携帯用丸のこ盤は木工用のものであり、設置されている「歯の接触予防装置」の可動式覆いが機能していなかった。 さらに、Bは作業者に対する安全衛生教育も行っていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。 | ||
1 | 作業計画を定め、作業者への指示を行わなかったこと Aが指示された作業は、アルミニウム製縞板を2つに切断する単純なものではあったが、木工用の丸のこ盤を使用することや、山型に曲げられていたアルミ板の作業台への固定が困難である等、危険が予見される作業であったにもかかわらず、工場長Bは、作業の前に適切な作業方法の検討を行ったうえで作業計画を定め、作業者に対して安全な作業を行うための指示を行うことを怠っていた。 |
|
2 | 使用した携帯用丸のこ盤は木工用であり、接触予防装置も機能しなかったこと Aは、切断に使用した携帯用の丸のこ盤によって被災したが、この丸のこ盤は木工用でありアルミ板の切断には不適切であった。また、接触予防装置は取り付けられてはいたものの、歯の覆いを自動的に引き戻すためのスプリングがはずれており、接触予防装置として機能していなかった。 |
|
3 | 安全衛生教育を実施していなかったこと 当該事業場では、安全作業の基本に関する教育、危険な機械の安全装置の機能や保守点検等についての安全衛生教育を行っていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 作業計画を定め、作業者に対して指示を行うこと 当該作業を含め、丸のこ盤を使用して材料の切断等の作業を行う場合、作業の前に適切な作業方法の検討を行った上で、作業の手順、使用する機械・設備等について作業計画を定め、作業者に対して安全な作業を行うための指示を明確に行うことが必要である。 |
|
2 | 機械・設備の安全措置を確実に行うこと 今回、切断に使用した丸のこ盤は木工用でありアルミ板の切断には不適切であるため、切断する材料に合った丸のこ歯を選ぶことが必要である。また、安全防止対策として、丸のこ盤には、歯の接触予防装置を設けなければならないことになっており、作業者は、これらの安全装置が取り付けてあること及び正常に機能することを確認のうえ使用することが必要である。 |
|
3 | 安全衛生教育を実施すること 作業者に対し安全衛生教育を行うとともに、職場の定期的なパトロール等を行い安全対策が実施されているか確認することが必要である。 |