農業用水管の敷設替え作業中、掘削溝の法(のり)面が崩壊した
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 石、砂、砂利 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | 土砂崩壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101167
発生状況
この災害は、道路舗装工事に伴う農業用水管の敷設替え作業を行っているときに発生したものである。 災害発生当日、工事現場には7人の作業者が集まり、午前8時より朝礼を行った後、溝の堀削、既設の用水管及びヒューム管の撤去、新しい用水管と防護管の敷設、堀削溝の埋戻しの各作業を順次行った。午後も午前中と同様な手順で作業を進め、新しい用水管と防護管の敷設を行っていた。 午後の作業を始めて1時間半ほど経過し、作業者AとBの2名が堀削構(深さ約1.7m)内で防護管の敷設作業をしていたとき、堀削溝の片側の地表に亀裂(幅0.6〜0.8m、長さ3m)が発生したことに気づいた職長Cとドラグ・ショベル運転者DがAとBに逃げるよう叫んだ。その直後、堀削溝脇の地表部分が亀裂に沿って崩落し、AとBは掘削溝に流れ込んだ約2.5m3の土砂により生埋めとなり死亡したものである。 この工事現場では、過去の道路工事や管敷設工事で掘削と埋戻しが繰り返し行われていた。周辺の土質は水を通しにくい粘土質であり、既設の水管からの漏水や地山からの湧水等により粘土質の層と埋め戻した部分との境目に亀裂を生じやすくなっていたが、工事を請け負った元請では、掘削個所周辺の漏水や湧水等の状況、過去の工事による埋め戻しの状況について、事前に確認をしていなかった。そのため、現場に適した土止め支保工等が設置されないまま掘削溝内での作業が行われた。 また、元請や下請では、この工事の工事計画書や作業手順書を作成しておらず、作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性等に関する安全衛生教育を行っていなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 堀削個所の亀裂の状況、湧水等の状況などの点検、確認をしていなかったこと |
2 | 堀削溝周辺は崩壊しやすい状況にあったにもかかわらず、適切な土砂崩壊防止措置を講じずに掘削構内で作業を行わせたこと |
3 | 地山の堀削、溝内作業等について、工事計画書や作業手順書を作成していなかったこと |
4 | 作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性等に関する安全衛生教育を行っていなかったこと |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 地山の堀削作業を行う場合は、あらかじめ作業個所および周辺の地山の地質、地層の状況、亀裂、湧水、漏水等の状況を点検し、安全な作業方法や手順を確認しておくこと |
2 | 崩壊のおそれのある堀削した溝内での作業は、あらかじめ土止め先行工法を採用するか、土止め支保工を設置した後で行わせること |
3 | 地山の堀削作業及び堀削溝内での作業は、あらかじめ工事計画書を作成し、作業手順書に従って作業させること |
4 | 現場の責任者及び作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性および安全な作業方法、手順等についての安全衛生教育を実施し、安全に対する意識の向上と安全衛生管理の徹底を図ること |
5 | 元請の現場管理者は、関係請負人の現場監督者に対し、作業個所の土砂崩壊防止措置に関する適切な技術上の指示、指導が行われるよう管理監督者教育を実施し、現場の安全衛生管理を徹底することも必要である |