射出成形機の金型のメンテナンス中に金型の下敷きとなって死亡
業種 | プラスチック製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 射出成形機 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業箇所の間隔空間の不足 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.101165
発生状況
この災害は、自動車のプラスチック製内装材を射出成形する金型のメンテナンス作業中に発生したものである。 災害発生当日、作業者Aは朝のミーティングに出席した後、作業者Bとともに射出成形機の金型のメンテナンス作業にとりかかった。このメンテナンス作業は、射出成形機から重さ4tの金型を外した後、金型を起こして立てた状態で、金型に差し込んであるピンを抜き、整備を行うものであった。ピンを抜く作業は、AとBが金型の両側に分かれ、Bが金型を貫通している金属製のピンを抜き、Aが金型を反対側から支えるという方法で行っていた。作業を始めて約30分経過し、Bが最後の6本目のピンを抜こうとしたところ、金型が後ろにゆっくりと倒れ、金型を支えていたAの上に倒れ掛かった。 Aは直ちに救出され病院に搬送されたが、死亡した。 金型のメンテナンス作業は、通常、金型にアイボルトを取り付け、クレーンを用いて金型を成形機から外し、金型をつり上げた状態でピン抜き作業を行っていたが、災害発生当日は、前日に金型を外していたため、クレーンを使用しないでピン抜き作業を行っていた。 なお、金型のメンテナンス作業の作業手順書は作成しておらず、作業者に対する安全衛生教育も実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業手順書がなかったこと 金型のメンテナンス作業は、非定常作業として、時々行われていたにもかかわらず、作業手順書が作成されていなかった。 |
2 | 作業に際しクレーンを使用していなかったこと AやBが所属する職場では、ピン抜き作業はクレーンを使用して金型をつり上げた状態で行う等の取り決めがあった。 しかし、当日はクレーンを使用しないで作業を行ったため、金型に横からの力がかかったときに支えきれず、金型が倒れた。 |
3 | 作業者に対し安全衛生教育を行っていなかったこと 作業者に対し安全衛生教育を実施していなかったため、重量物の安全な取扱い等に関する知識が不足していた。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 金型のメンテナンス作業の作業手順書を作成すること 非定常作業であっても、時々でも行うものについては、重量物の取扱い、重量物の危険性、用具の使用方法等を含めた作業手順書を作成し、その内容を関係者に周知徹底する。 |
2 | 金型のメンテナンス作業ではクレーンを使用すること 不安定な金型のメンテナンス作業では、クレーンを使用するとともに、その旨作業手順書に盛り込むことも重要である。 |
3 | 作業者に対し安全衛生教育を実施すること 金型のメンテナンス作業等、危険を伴う作業に関しては作業者に安全衛生教育を実施する。 |