木材加工工場のサイロで粉じん爆発
業種 | 木製家具製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 木材、竹材 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 分類不能 |
No.101159
発生状況
この災害は、木材加工を行っている工場において、発生した木粉を貯蔵するサイロが爆発し、近くにいた作業者が熱風等により火傷を負ったものである。 災害が発生した工場では、丸のこ盤や木工用サンダー等を用いて木材加工を行っており、その際に発生した木粉をダクトで吸引し、サイロに貯蔵していた。サイロに貯蔵された木粉は、サイロ下部に設置されたスクリューコンベアによりボイラーへ送られて燃料に供されていた。 災害発生当日、ボイラー取扱い主任者である作業者Aは、ボイラーの運転状況に応じて工場内の各所で出た不要な材木や木屑、サイロに貯蔵された木粉等を燃料としてボイラーに供給する作業を朝から行っていた。Aが当日の最後の作業としてサイロの近くでスクリューコンベアの操作を行っていたとき、突然サイロが爆発し、爆風と火炎に巻き込まれたAは作業服に火が着いて火傷を負った。 爆発が起きたサイロでは、サイロ内で拡散した木粉が外部に漏れ作業環境を悪化させるのを抑えるとともに、発熱や静電気による発火を防止するため、ボイラーで発生した水蒸気をサイロ内に吹き込む設備があったが、災害発生当日は稼動させていなかった。 工場の設備担当者や安全衛生担当者は、スクリューコンベアと木粉との摩擦により、発熱や静電気が生じることを認識していなかった。このため、工場では、作業者に対して粉じん爆発の危険性に関する教育を実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。 | |
1 | スクリューコンベアと木粉との摩擦による発熱又は静電気が点火源となり、木粉が粉じん爆発を起こしたこと なお、災害発生当時、サイロ内での木粉の拡散や発熱等による発火を防止するための蒸気を吹き込む設備が稼動されていなかったことが危険性を高めた。 |
2 | サイロが粉じん爆発の被害を抑制できる構造になっていなかったこと サイロには爆発放散口がなく、粉じん爆発が発生したときの被害を抑制できる構造となっていなかった。そのため、サイロの近くで作業していたAが爆風と火炎に巻き込まれた。 |
3 | 粉じん爆発の危険性について作業者に対し教育を実施していなかったこと 工場では、サイロで粉じん爆発が起きるという認識がなく、作業者に対して粉じん爆発の危険性等についての安全衛生教育を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | スクリューコンベアと木粉との摩擦による発熱や静電気を防止する措置を講じること 安全対策として設置された水蒸気を吹き込む設備を稼動させる等の措置を講じてスクリューコンベアを動かすことが重要である。この場合、スクリューコンベアと水蒸気の吹き込みはインターロックにより同時に稼動するように改善することが望ましい。 |
2 | 内部で粉じん爆発が起きたときの被害を抑制できる構造のサイロとすること 粉じん爆発が起こるおそれのあるサイロは、上方等、作業者への被害が及ばない方向に向けた爆発放散口を設けて、万一粉じん爆発が起きてもその被害が最小で済む構造とする。 |
3 | 作業者に対し、粉じん爆発の危険性を教育すること 関係作業者に対し安全衛生教育を実施し、木粉による粉じん爆発の危険性のほか、爆発を抑制する措置、爆発が起きたときの被害を抑える措置や避難方法等について周知させる。 |