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労働災害事例

天井裏の点検中、照明器具のプラグで感電し、死亡

天井裏の点検中、照明器具のプラグで感電し、死亡
業種 その他の建築工事業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の電気設備
災害の種類(事故の型) 感電
建設業のみ 工事の種類 その他の建築工事
災害の種類 その他の建設機械等(車両系を除く)
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 防護・安全装置がない
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.101157

発生状況

 この災害は、食料品製造工場の天井断熱材の張替え工事で発生したものである。
 災害発生当日、内装工事、建築板金を営むZ社の作業者Aは、班長Bとともに、天井断熱材の張替え工事を受注した食料品製造工場で朝から作業を開始した。当日の作業は、工場の2階天井裏の断熱材を張り替えた後の点検であった。
 AおよびBは、天井裏で照明器具(100V、90Wの白熱灯)を使用するため、2階の壁にあるコンセントにドラム式延長コード(長さ30m)のプラグを差し込んだ後、延長コードのドラムと照明器具を1台ずつ持って天井裏へ上った。
 天井裏で、2人は、ドラム式延長コードのコンセントに照明器具のプラグを差し込んで、断熱材の張替え作業の際に天井裏に置いた足場板(幅9cm)の上から断熱材の固定状況等を確認していたが、途中でコードの長さが足りなくなったので、新たに延長コード(長さ10m)を4本持ち込み、順次コードを接続して点検作業を行った。
 午後3時頃、点検作業が終了したので延長コードの片付けを始めたが、その手順は照明器具のプラグを抜いた後、末端の延長コードのプラグを抜き、その後、照明器具のプラグをコンセントに差し込んで再び照明を確保して、抜いた延長コードを束ねながら後退するという手順で行っていた。この手順で2本の延長コードを束ね、3本目の延長コードを抜いたところに、Aが照明器具のプラグを差し込んだとき、火花が飛びAが倒れた。Aは病院に移送されたが死亡した。
 Aがプラグを差し込んだコンセントのボディは、一部が破損していて内部の充電部が露出していた。Aは暗がりの中、手探りでプラグを差し込もうとしてコンセントの露出していた充電部に触れ、感電したものであった。
 断熱材の張替え作業中では、天井裏に電源コードを仮設して照明や電動工具の電源を確保していたが、張替え作業修了とともにすべて撤去する工事計画書になっており、点検作業が行われた当日は、天井裏に照明設備はない状況であった。
 また、AおよびBは当日、現場に持ち込んだ延長コードや照明器具を作業前に点検しておらず、Z社では工事作業中の感電災害防止について、作業者に教育を実施していなかったため、作業中の感電の危険性についての作業者の認識が欠けていた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  延長コードのボディが破損していたこと
 延長コードのボディが破損していて充電部が露出していたため、Aが暗がりの中、手探りでプラグを差し込もうとして充電部に触れ、感電した。災害発生当日は、作業前に持ち込んだ照明器具および延長コードを点検していなかった。
2  天井断熱材の張替え工事全体の工事計画書が不十分であったこと
 天井裏の照明は、断熱材の張替え作業中には確保されるようになっていたが、点検作業時には照明が撤去されている計画となっていた。そのため、AおよびBは照明器具および延長コードを天井裏に持ち込み、また、延長コードの継ぎ足し時や片付け時には一時、照明がない状態で作業しなければならなかった。
3  作業者に対し、感電防止についての教育を実施していなかったこと
 低圧電路であっても、設備の状況や作業方法によって感電する危険性があることを作業者に対し教育していなかった。そのため、作業者に作業中に感電するという認識はなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  現場に持ち込んだ電気器具類の点検を作業前に行うこと
 工事の際、現場に持ち込む電気器具や延長コードは、作業前に点検を行い、損傷がないことを確認する。万が一、損傷が見つかったときは、修理又は交替が済むまで作業では使用しないように区別する。
2  工事期間全体を考慮した工事計画書を作成すること
 現場で作業が行われる間は常に照明が確保されるよう、準備作業や点検作業を含めた工事期間全体を考慮した工事計画書を作成する。
 なお、出張作業において電源が確保されていない場所で作業を行う場合には、臨時の電源の確保について施設の所有者と工事着工前に十分な打ち合わせを行うようにする。
3  作業者に対し、感電防止についての教育を実施すること
 低圧電路であっても周辺の状況によって充電部に接触した場合には感電死することがあるので、作業者に対して、その知識の有無を確認するとともに必要な教育を行う。