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労働災害事例

路上設置型変圧器の取替え工事中に感電し、死亡

路上設置型変圧器の取替え工事中に感電し、死亡
業種 機械器具設置工事業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 電力設備
災害の種類(事故の型) 感電
建設業のみ 工事の種類 電気通信工事
災害の種類 電気工事作業
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 防護・安全装置が不完全
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 確認しないで次の動作をする

No.101156

発生状況

 この災害は、交通事故で損壊した路上設置型の変圧器(1次側6,600V、2次側210/105V)およびケーブル(3相の電線を1本に被覆したもの)を新しいものと取り替える工事において発生したものである。
 災害発生当日、作業者Aは、班長Bおよび警備員と3名で現場に赴いた。前日までに損壊した変圧器本体の交換および変圧器の1次側コネクタと電力供給ケーブルの接続は終了しており、当日の午前中に、変圧器の2次側ケーブル2本のうち1本の接続を終了した。当日中には全ての作業が終了して通電が開始できる見通しとなったので、Bは電力会社の担当者Cに連絡をとり、午後の作業はCの立会いのもと午後1時半頃に始められた。作業は残りの2次側ケーブル1本の接続で、Bが午前中と同様に変圧器の1次側開閉器を開(切)にして、Aが変圧器の2次側ケーブルの接続を行った。30分ほどで作業が終わったので、AとBは休憩に入り、Cは帰社した。
 その後、Bは、変圧器の1次側開閉器を閉(入)にして、変圧器から2次側ケーブルでつながれた低圧分岐箱の電圧を測定したところ、所定の電圧となっていなかったので原因を調査した結果、変圧器の1次側コネクタと電力供給ケーブルの相が違っていることが分かった。
 そこで、電力供給ケーブルを接続し直すことにしたBは、Aに電力供給ケーブルをコネクタからはずす作業を指示した。Aがベルトレンチで1相目をはずし、続いて2相目をはずそうとしたとき、先にはずした1相目の電線に接触して感電した。Aは、病院に搬送されたが既に死亡していた。
 災害発生当時、Bは変圧器の1次側開閉器を開にしていたが、この状態では電力供給ケーブルは活線のままであった。Aは、2次側ケーブルの接続作業では、高電圧用の絶縁用ゴム手袋を使用していたが、休憩時に手袋を外し、午後はそのまま電力供給ケーブルの接続し直し作業をしていた。また、Bは、Aが絶縁用ゴム手袋を外したまま作業するのを目撃していたが、停電作業であると勘違いしていたため、注意しなかった。
 なお、Bは当日、現場に検電器を持ち込み、2次側ケーブルの接続作業では作業前に検電を実施していたが、電力供給ケーブルの接続し直し作業の前には、検電をしていなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  活線のケーブルを接続し直そうとしたこと
BがAに電力供給ケーブルの接続し直しを指示したとき、当該ケーブルは活線の状態であった。また、Bは開閉器の操作により停電作業になったと勘違いし、作業前の検電をしなかった。そのため、Aは電力供給ケーブルの接続し直し作業中に、はずした電線の充電部に触れて感電した。
2  絶縁用保護具を使用していなかったこと
 Aは、午前中の2次側ケーブルの接続作業時には高電圧用の絶縁用ゴム手袋を使用していたが、休憩時に外し、午後はそのまま電力供給ケーブルの接続し直し作業を行った。また、Bは、Aが絶縁用ゴム手袋を使用せずに作業するのを目撃していたが、停電作業であると勘違いしていたため、注意しなかった。
3  電力供給ケーブルの接続作業後に接続結果を確認しなかったこと
 この災害は、予定していたすべての作業を終了し、変圧器に通電を開始した後に発見された異常を解消する作業中に発生したが、前日までの作業の実施結果をその都度、確認していなかったために発生した。また、工事の発注者であり通電確認をした電力会社のCが各ケーブルの接続確認を行わなかったことも原因のひとつである。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  作業前の停電への切り替えは確実に行うこと
 ケーブルの接続作業等においては、現場の責任者が回路図等をよく確認し、作業を行うケーブルおよびコネクタの停電を確実に行う。また、作業前に検電を行い、作業を行うケーブルおよびコネクタが停電状態であることを確認することも重要である。
2  絶縁用保護具を必ず使用させること
 高圧電路の作業等については停電状態で行うことが望ましいが、やむを得ず活線作業または活線近接作業を行うときは、作業者に絶縁用保護具を使用させる必要がある。また、停電作業を行う場合であっても、作業中に誤って開閉器が開くにされることもあるので、作業者には必ず絶縁用保護具を使用させること。
3  作業の終了の都度、結果の確認を行うこと
 変圧器の取替え作業、ケーブルの接続作業等は、作業終了の都度、計画どおりに実施されていることを必ず確認する。とくに、ケーブルの接続は、相を間違えていないことを配線や端子の色等で確認する。
 また、発注者である電力会社は、工事終了時に工事業者とともに作業の結果について確認のうえ、通電の手続きをとることも重要である。