車両積載形トラッククレーンの荷台から荷を降ろす際にトラッククレーンが転倒
業種 | その他の電気機械器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101155
発生状況
この災害は、車両積載形トラッククレーンに積まれた荷をつり上げて旋回したところ、トラッククレーンが転倒したものである。 災害発生当日、Z社の作業者Aは、Y社からX港岸壁まで発電機(重量約1.3t)の搬送を依頼され、Z社所有のトラッククレーンを運転してY社に向かった。Aは移動式クレーンの運転資格がなかったため、Y社の社員の助けを得て発電機を積み込んだ後、X港岸壁に向かった。岸壁では、発電機を船舶に積む作業を別の移動式クレーンで行う予定となっていたので15分ほど待ったが、移動式クレーンが到着しないので、A自らの判断で、運転してきたトラッククレーンを操作して荷台から発電機を下ろし始めた。このとき、Aは、トラッククレーンのアウトリガーを張り出さないまま接地し、発電機を荷台からつり上げ、ジブを伸ばし、旋回させたところ、発電機が荷台のあおりから半分出たところでトラッククレーンが傾いて転倒し、つり荷の発電機がAに激突した。Aは倒れているところを、遅れて到着した移動式クレーンの運転手に発見され、病院に運ばれ入院した。 X港岸壁でトラッククレーンが駐車した場所は、砂・小石等が混じった赤土の地面で、Aは敷板を使用せずに直接アウトリガーを接地していた。また、トラッククレーンには過負荷防止装置がついていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業指示の内容が明確でなく、運転資格がない者にトラッククレーンの運転を行わせたこと 移動式クレーンの運転資格のない被災者がトラッククレーンの運転を行った。 |
2 | 定格荷重を超える荷重が加わったこと トラッククレーンが過負荷防止装置を備えていなかったため、発電機をつり上げた状態でジブを伸ばし、旋回したところ、定格荷重を超える荷重が加わり、トラッククレーンがバランスを失った。 |
3 | アウトリガーの使用が適切でなかったこと アウトリガーを張り出さず、しかも軟弱な地盤に対して敷板等を使用することなく直接アウトリガーの脚部を接地したため、トラッククレーンがバランスを失いかけたときに持ちこたえることができなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 無資格者にトラッククレーンを運転させないこと 作業指示を明確に伝え、運転資格のない者がトラッククレーンの運転を行わないよう徹底する。 |
2 | 移動式クレーンは定格荷重を超える過負荷状態で使用させないこと 移動式クレーンを操作するときは、作業半径に応じた定格荷重を厳守し、定格荷重を超える過負荷で使用させないようにする。 |
3 | アウトリガーを適切に使用させること アウトリガーを有する移動式クレーンを使用するときは、水平な硬い地盤でアウトリガーを最大限に張り出して設置する。また、地盤が軟弱なときは敷板等を使用する。 |