送水管敷設工事の覆工板開口部から墜落して死亡
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 開口部 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 窓、階段、開口部、床の端から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101153
発生状況
この災害は、送水管敷設工事現場において発生したもので、工事は、地中深さ26mの立坑を掘り、深さ25mに埋設されている送水管と深さ3mに埋設されている配水管を接続するための送水管等を新設するものであった。 災害発生直前、作業者Aは同僚の作業者とともに、移動式クレーンで立坑内へつり下げた鋼管を、地中深さ7.5mの立坑の途中の開削水平管路内にチェーンブロックで横引きする作業に従事していた。横引き作業の途中で移動式クレーンの玉掛け用具であるナイロンスリングが地上の覆工板開口部の縁に接近したので鋼管を仮置きする必要が生じ、塗装面の損傷を防止するために角材が必要になった。このため、Aは開削管路から移動はしごで地上に上がって角材を探し出し、移動式クレーンの合図者に角材を開削管路まで下ろすよう依頼し、自らは移動はしごで開削管路まで戻ろうと覆工板開口部に歩み寄ったときに足を滑らせ7.5m下の開削管路の床面まで墜落し、死亡した。 移動はしごは数日前にAら関係作業者が開削管路内に下ろして使用していたもので、脚は開削管路の床面に置き、先端は地上の覆工板開口部から28cm突出して、開削管路に番線で固定していた。 前日の作業打ち合わせおよび当日の朝礼において、この移動はしごの使用は禁止であり、開削管路と地上の移動には立坑内に設置された足場式通路のみを使用するよう指示されたが、作業者は遠回りになることから、移動はしごを架けて使用していた。また、現場監督者等もこの行為を黙認していた。 また、覆工板開口部の周囲には、作業者が墜落することを防止するための柵等は設けられていなかった。 なお、この工事現場では作業者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 移動はしごの上端が床面から28cmしか突出していなかったこと |
2 | 移動はしごが架けられていた付近の覆口板開口部に、柵等の墜落防止措置が講じられていなかったこと |
3 | 禁止されていた移動はしごの使用が黙認されていたこと |
4 | 作業に必要な損傷防止の角材があらかじめ作業場所に準備されていなかったこと |
5 | 作業の危険性等について安全衛生教育が行われていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | はしごは開口部床面から60cm以上突出させること |
2 | 作業者が墜落するおそれのある開口部には、墜落防止のための柵等を設けること |
3 | 地下の作業場所と地上との間に安全な昇降設備を設け、作業者にその使用を徹底するとともに、移動はしごは撤去し使用させないこと |
4 | 作業の内容や手順について事前に検討し、作業で必要な資材はあらかじめ必要となる場所に用意しておくこと |
5 | 作業に伴う墜落その他の危険性等について、安全衛生教育を実施すること |