|
|
この災害は、道路の法面の安定化工事において、高さ約6m、勾配60度の法肩個所で、親綱を取り付けるためのアンカーの点検作業中に作業者が足を滑らせ転落し死亡したものである。
災害発生当日、現場代理人Aおよび作業者B〜Dの4人で、床堀した法面へのラス張り作業と別の法面のモルタル手直し作業を行うことになっていた。作業開始とともに、Bは、アンカー施工済みの法面上の地山に登り、法肩から下方60cmの位置に打ち込んである親綱用のアンカーの点検作業をしていたところ、足を滑らせ、約6m下の小段上に転落し、死亡した。
Bは、保護帽およびスパイク付き長靴は着用していたが、安全帯を着用していなかった。また、地山斜面を登るためのはしご等昇降設備は取り付けられておらず、Bは既設のPCコンクリート受圧板を手がかりにして登った。
なお、この現場では、通常は朝礼で現場代理人から作業指示と安全面の注意が行われていたが、当日は、Aの到着が遅れたため、朝礼が行われることなく作業が開始されていた。 |
|
|
|
|
|
|
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 |
1 |
転落の危険がある高さ約6mの法面個所(作業床の端)で、安全帯を使用しないでアンカーの点検を行ったこと
Bは被災時に、保護帽、スパイク付き長靴は着用していたが、安全帯は着用していなかった。また、アンカー設置場所への昇降設備が設けられていなかった。 |
2 |
アンカーが、法面から60cmの位置に設置してあり、点検等の際に転落による危険があったこと |
3 |
作業開始前に昇降方法、アンカーの点検方法等安全な作業方法についての指示が行われなかったこと |
|
|
|
|
|
|
同種災害の防止のためには、次のような対策が必要である。 |
1 |
転落の危険がある法面での作業を行わせるときは、昇降設備を設けるとともに、必要に応じ親綱を設け、作業者に安全帯を使用させること |
2 |
アンカーは、作業個所に応じ、できるだけ、点検等の際に転落による危険が生じるおそれのない場所に設置すること |
3 |
作業開始前に朝礼を実施し、当日の作業予定の確認や安全な作業方法についての指示を行うこと |
|