カセットコンロ用使用済みガスボンベの廃棄作業中に火災が発生し、火傷を負う
業種 | その他の接客娯楽業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他の不安全な行動 |
No.101146
発生状況
この災害は、カラオケボックスの厨房において、カセットコンロ用の使用済みガスボンベ(ブタンガス使用)を廃棄するために穴を開ける作業中に発生したものである。 災害発生当日、従業員Aは、厨房内の棚にカセットコンロの使用済みガスボンベが多数乱雑におかれているのに気付き、部下の従業員Bにこれを廃棄するよう指示した。 指示を受けたBは、ガスボンベを点検したところ、ガスボンベにガスが残留しているものがいくつかあることが分かったので、BはAに厨房内で作業を行ってよいか確認し、厨房内の床上において、金槌の尖った方でガスボンベに穴を開けるガス抜き作業を同僚のCと始めた。 ガス抜き作業中、Bがガスボンベに穴を開けるとシューとガスが噴出したのが確認されたがBはそれに構わず作業を続行した。Bが4本目のガスボンベに穴を開けた時、突然、火炎が生じ、その火によりBとCは火傷を負った。 また、その火炎は床を這うように厨房の出入り口方向に走り、外で開店準備をしていた同僚Dの足元まで達したため、Dも火傷を負った。 なお、点火源については、ガスレンジ等の火気を使用する機械を、ガス抜き作業中に使用していないことから、ガス抜き作業をしていた近くの床上に設置されていたサーモスタット機能がついた製氷機と断定された。 ガス抜き作業を行った厨房は、換気が不十分な狭い部屋であり、当該店舗では、ガスボンベの廃棄処理方法についてのマニュアル等は作成されておらず、作業者に対する安全衛生教育も行われていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のことがあげられる。 | |
1 | 換気、自然通風の不十分な狭い厨房内で、可燃性ガスが残留したガスボンベの廃棄処理のためのガス抜きを行なったこと |
2 | ガスボンベのガス抜き作業を、サーモスタット等可燃性ガスの点火源となるものが存在する厨房内で行なったこと |
3 | ガスボンベの廃棄処理方法について、安全に作業を行うためのマニュアルを作成していなっかたこと |
4 | 従業員に対する安全衛生教育を行っていなかったこと |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | カセットコンロ用ガスボンベの廃棄処理作業(ガス抜き作業)は、換気、自然通風が十分な場所で行なうこと メーカーの示す廃棄処理の注意書きにもその旨記載されているので、これに従って作業を行うことが必要である。 |
2 | カセットコンロ用ガスボンベのガス抜き作業は、火気、サーモスタットその他の点火源となるもののない場所で行なうこと |
3 | カセットコンロ用ガスボンベの廃棄処理方法について、安全に作業が行なえるようマニュアルを作成すること |
4 | 従業員に対して、安全に厨房内での作業を行うために必要な安全衛生教育を実施すること |