天井走行クレーンのガーダ上で点検中にはさまれて死亡
業種 | 港湾荷役業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | チームワーク | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101134
発生状況
この災害は、海上輸送によって運ばれてきた薄板、厚板などの鋼材を保管する倉庫で、天井走行クレーンの点検中に発生したものである。 災害発生の前日、荷揚げ、積み込みを担当するクレーン運転班の監督者Aは、天井走行クレーン(定格荷重25t)の巻上げ時に、つり上げ作業には大きな支障はなかったものの異常音を発しているのに気づき、災害発生当日の朝に保全担当の監督者Bに伝えた。 しかし、Bは、「後で手すきのときに見ておきます。」と返事をしたものの、具体的な点検計画をAに伝えずに、他の作業に取りかかった。 その後、クレーン運転班が天井走行クレーンの運転作業を開始したが、1時間ほど経過したときに「うめき声」が聞こえた。地上にいた作業者がガーダに上がったところ、Bが配電盤とクラブトロリーにはさまれて死亡しているのを発見した。 Bは、点検を開始するに当たり、天井走行クレーンの元電源を遮断しておらず、運転台にも「点検中」の表示をしていなかった。また、Bは、点検することをAに連絡していなかったため、クレーン運転班はBが点検していることに気づかずに天井走行クレーンを運転していた。そのため、Bが巻上げ装置の異常音の原因を確認しようとしてクラブトロリー側に身を乗り出したところに、トロリーが横行してきて、配電盤との間にはさまれたものである。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 天井走行クレーンの元電源を遮断する等の措置を講じないまま点検を行ったこと Bは、クレーンの元電源を遮断せず、運転台にも「運転禁止」の表示をしないまま、ガーダに上り点検を行っていいたため、クレーン運転班は、点検中であることに気がつかないままクレーンを運転操作した。 |
2 | 事前に点検の実施について関係作業者と打合せを行わなかったこと AとBは、天井走行クレーンの点検をいつ実施するかについて、事前に打合せを行っていなかったため、Bが点検しているときに、クレーン運転班がクレーンを運転した。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | クレーンの点検は、クレーンを停止して点検を行うこと 天井走行クレーンのガーダ上で点検などの作業を行うときは、天井走行クレーンの不意の起動によるはさまれなどを防止するため、天井走行クレーンの運転を禁止(ロックアウト)し、操作部分に運転を禁止することを表示(タグアウト)した上で作業を行う。 なお、巻上げ装置の異常の有無の点検等をやむを得ず天井走行クレーンの運転中に行わなければならない場合には、作業を指揮する者を定めて作業の指揮監督を行わせるとともに、天井走行クレーンのガーダ上の点検者とクレーン運転者との間の連絡および合図の方法を定め、それに基づいて合図しながら点検する。 |
2 | クレーンの点検を行う場合は、事前に関係作業者と打ち合わせた上で行うこと 天井走行クレーンの点検中にクレーンを起動させることがないように、クレーン運転者等と打ち合わせるとともに、関係作業者に周知し、1の対策を講じた上で点検を行うことが必要である。 |