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労働災害事例

ゴンドラでビルの窓拭き作業中、作業床が傾いて負傷

ゴンドラでビルの窓拭き作業中、作業床が傾いて負傷
業種 ビルメンテナンス業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) ゴンドラ
災害の種類(事故の型) 崩壊、倒壊
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:0人
不休者数:2人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.101133

発生状況

 この災害は、ゴンドラ(モノレール型)を使用してビルの窓拭き清掃作業中に発生したものである。
 当該ゴンドラは、積載荷重0.2tで、走行車輪ユニット、走行台車、昇降ワイヤロープ及び作業床で構成されており、走行車輪ユニットと走行台車は車輪縦軸(φ50mm)により連結され、作業床は走行台車に取り付けられた昇降ワイヤロープにより昇降及び横行する構造となっている。
 災害発生当日、2名の作業者がゴンドラに乗り窓拭き作業を行った。作業終了後、ゴンドラを格納場所に戻すため移動(横行)させていたところ、ゴンドラがビルの角部分を通過したとき突然作業床が大きく傾いた。このため、ゴンドラ内にいた2名の作業者がバランスを崩し、ゴンドラの枠に激突し負傷した。
 当該ゴンドラは、事故後の調査で走行台車と車輪縦軸を連結するネジ部が破断していることが判明した。また当該事業場では、ゴンドラの保守点検マニュアルが整備されておらず、ゴンドラの性能検査(1年に1回)と定期自主検査(1月に1回)は実施していたものの、定期的に応力を受ける車輪縦軸のネジ等の分解検査とその結果に基づく補修を行っていなかった。
 なお、当日は通常の窓拭きのみの作業を行っており、ゴンドラの作業床に特に重いものを乗せてはおらず、作業を中止しなければならないような強風は吹いていなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  走行台車と車輪縦軸を連結するネジ部が金属疲労により破断したこと
 このゴンドラは、約20年前に製造されたものであり、ネジの破断した部分には細かい波状のしわが見られることから、ネジ部が「疲労破断」したものと考えられる。
2  ゴンドラの保守点検マニュアルが整備されておらず、分解検査を行っていなかったこと
 このゴンドラについては、性能検査と定期自主検査は実施していたものの、繰り返し応力を受ける部分(車輪縦軸のネジ等)の分解検査とその結果に基づく補修が行われていなかった。

対策

 同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  ゴンドラの保守点検マニュアルを定めて点検補修を行うこと
 ゴンドラの車輪縦軸などの重要機械部分であって繰り返し応力を受ける部品などについては、設計上の詳細点検項目を含めた情報を当該ゴンドラの設計・製造業者から取り寄せ、その情報を盛り込んで保守点検マニュアルを作成してゴンドラの全体的な性能検査、定期自主検査のみならず、分解検査、非破壊検査等も定期的にすることが必要である。