産業廃棄物焼却炉の集じん装置を点検中、焼却灰が飛散し火傷
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 炉、窯 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他服装を指定していない | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 不安全な服装をする |
No.101123
発生状況
この災害は、産業廃棄物を焼却処理する施設の集じん装置を点検しているときに発生したものである。 Z社では、産業廃棄物処分業の許可を受けて、金属屑、プラスチック、ガラス等を含む廃棄物を焼却し、焼却灰を分別して金属等を回収している。 災害発生当日、職長Aと作業者B、Cの3人は、午前7時に出勤し、前日からの夜勤者と業務の引継ぎを行った後、AとBは焼却炉等施設の運転作業を行い、Cは焼却灰の分別作業を行っていた。午後になって集じん装置の焼却灰排出口から排出されるべき焼却灰の量が極端に少ないことにCが気づき、さらに、午後3時頃、Aは、Cから「焼却灰がまったく出ていない」という報告を受けた。 そこで、Aは、ベルトコンベアを停止して廃棄物の投入を止めるとともに、焼却炉の火を消した。約30分後に、A〜Cが集じん装置の点検のため焼却灰の排出口付近に集まったころ、突然、焼却灰が集じん装置内で落下し、排出口から大量の焼却灰が流出、飛散した。3人はその灰をかぶり、火傷を負った。3人がかぶった焼却灰の温度は、400〜500℃であった。 災害が発生した集じん装置は、約1ヶ月前にフィルターを交換した際に、集じん装置を製造した業者の保守点検を受けていたが、その後は点検を行っていなかった。また、Z社では、焼却炉、集じん装置等、施設の点検マニュアルを作成していなかった。 Z社では、施設の運転中に不具合が生じた場合等の非定常作業についての作業手順書を作成していなかった。また、高温部分に接近する場合に必要な耐熱服等火傷防止のための保護具を備え付けていなかったため、A〜Cの3人は通常の綿製長袖の作業服上下のまま、集じん装置の点検を行おうとしていた。 なお、Z社では、作業者に対する安全衛生教育、KYT、職長教育等を行っていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | Z社が、焼却炉、集じん装置等、施設の点検を十分行っていなかったこと。 Z社では、焼却炉、集じん装置等、施設の点検マニュアルを作成しておらず、業者の保守点検を受けた以外、自社では点検を行っていなかった。 |
2 | 非定常作業の作業手順書を作成していなかったこと。 Z社では、焼却灰がつまった場合等の非定常作業についての作業手順書を作成していなかった。 |
3 | 火傷防止のための保護具を備え付けていなかったこと。 Z社では、高温部分に接近する作業に必要な耐熱服等、火傷防止のための保護具を備え付けていなかった。 |
4 | 安全衛生教育等を実施していなかったこと Z社では、作業者に対する安全衛生教育、KYT、職長教育等を行っていなかったため、作業者の危険感受性が乏しかった。 |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 焼却炉、集じん装置等、施設の点検マニュアルを作成し、毎日の作業開始前及び定期的に点検を行うこと |
2 | 非定常作業についても作業手順書を作成し、関係者に周知徹底すること |
3 | 高温部に接近する作業に備えて、耐熱服等、火傷防止のための保護具を備え付けておき、作業者に確実に着用させること |
4 | 作業者に対し、安全衛生教育、KYT、職長教育を行い、廃棄物の焼却処理作業での安全衛生を徹底すること |