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労働災害事例

家具製造工場の火災で寄宿舎の技能実習生5人が負傷

家具製造工場の火災で寄宿舎の技能実習生5人が負傷
業種 木製家具製造業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 金属材料
災害の種類(事故の型) 火災
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:4人 行方不明者数:0人
発生要因(物) その他の不安全な状態
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 飛び下り、飛び乗り

No.101122

発生状況

 この災害は、木製家具を製造する工場で深夜に火災が発生し、工場に隣接した事務所の2階に宿泊していた外国人技能実習生5人が避難しようと窓から飛び下りて被災したものである。この工場では、外国人技能実習生の受け入れに際し、事務所の2階を寄宿舎として使用していた。
 災害発生当日の午前0時過ぎ、事務所2階で就寝していた技能実習生5人は、大きな爆発音を耳にし、隣接する工場で火災が発生したことに気がついた。
 そこで、避難しようと1階に下りる階段に続くドアを開けたところ、すでに工場は火に包まれており、煙のため階段で下りることは不可能であったため、工場とは反対側の窓から地面に飛び下りたが、1人が骨折して入院したほか、ほかの4人も負傷した。
 被災した技能実習生が使用していた寄宿舎への出入りは、事務所建屋の工場側に設けられた階段1個所のみであり、ほかに昇降設備は設けられていなかった。
 この工場では、主に、家具の部品を塗装した後、研磨機で塗装表面の仕上げ加工を行っているが、研磨の際に生じた合成樹脂の屑が熱を帯びたまま堆積し、発火したことが火災の原因であった。工場では、研磨屑を定期的に清掃しておらず、火災発生前には相当量の研磨屑が堆積していた。
 なお、この工場では、消火訓練や避難訓練を実施していなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  熱を帯びて堆積した合成樹脂の屑が発火し、火災となったこと
 塗装後の家具部品の表面仕上げ加工で、研磨の際に生じた合成樹脂の屑が熱を帯びたまま堆積し、発火した。工場では、研磨屑を定期的に清掃しておらず、火災発生前には相当量の研磨屑が堆積していた。
2  複数の避難経路が確保されていなかったこと
 事務所2階に設けられた寄宿舎への出入りは、工場側に設けられた階段1個所のみであったため、工場で発生した火災により、この1個所が使えなくなり安全に避難することができなかった。また、屋外の安全な場所に通ずる避難設備もなかった。
3  消火訓練等を行っていなかったこと
 この工場では、火災発生に備えた消火訓練や避難訓練を行っていなかった。

対策

 同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  火災の原因となる合成樹脂の屑を堆積させないこと
 合成樹脂の研磨屑が多く発生する作業においては、清掃担当者を定め、熱を帯びた研磨屑が大量に堆積しないように清掃の定期的な実施を徹底する。また、研磨屑の堆積する場所は不燃性のものとする。
2  寄宿舎は次の要件を満たすものとすること
[1] 発火性の物、引火性の物、易燃性の物等を取り扱いまたは貯蔵する場所と近接しない場所に設置する。
[2] 2階以上に寝室を設ける寄宿舎では、少なくとも一個所の避難用の階段に加えて、避難用のタラップ等を設け、複数の避難経路を確保しておく。
3  寄宿する者に対して、避難訓練や消火訓練を定期的に実施すること