丸太の皮むき作業中、皮むき機に転落し死亡
業種 | その他の木材・木製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の木材加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 切れ、こすれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 心理的原因 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101120
発生状況
この災害は、木材チップの製造工場において、丸太の皮むき作業中に発生したものである。 この工場には、皮むき機1台、粉砕機1台、ふるいわけ機1台が設置されており、2人の作業者が、丸太の皮むきからチップの選別までを次のような工程で行っていた。 [1] 丸太を集積場からフォークリフトで運搬して皮むき機に投入する。 [2] 皮むき機の刃を回転させながら丸太の皮をそぎ落とし、丸太を皮むき機の出口まで移動させる。 [3] 丸太をベルトコンベヤーで粉砕機に運び、約3cmの大きさに粉砕する。 [4] ふるいわけ機で、3cm角の製品と規格外のものに分別し、規格に合った製品をホッパに集積する。 災害発生当日は、[1]の作業を作業者Aが、[2]〜[4]の作業を作業者Bが担当していたが、午後の作業で、Bが皮むき機の脇のベルトコンベヤーの近くで監視していたところ、皮むき機の丸太投入口に立って鳶(とび)口を使い丸太を引っかけていたAが皮むき機のドラム内へ落下したのを目撃した。そこで、Bは、すぐに建屋内にあった非常停止スイッチを操作して機械を停止させたが、Aはすでに死亡していた。 Aが皮むき機のドラム内へ落下したとき、ドラム内では、丸太が詰まって浮き上がり、刃に接触しなくなっていたので、Aは柄付きの鳶(とび)口で丸太を引っ掛けて調整しようとしていた。このような調整の作業は、たびたび行われていたが、皮むき機の丸太投入口には、作業者が皮むき機に転落することを防止するための柵は設けられていなかった。 また、この工場では、皮むき機の丸太投入口で行われる詰まった丸太の調整作業について作業手順書を作成していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 皮むき機のドラム内への転落を防止するための柵等が設けられていなかったこと |
2 | 皮むき機の投入口における作業位置の近くに非常停止スイッチが設けられていなかったこと |
3 | 丸太の詰まりを調整する作業の作業手順書を作成しておらず、このためAが皮むき機を停止せずに調整作業を行ったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 皮むき機に作業者が転落することを防ぐため作業場所に安全柵等を設けること |
2 | 非常停止スイッチを作業場所の近くに設置すること 皮むき機の刃の近くで行われる作業場所で激突・巻き込まれ等の危険がある場所には、容易に操作できる位置に非常停止スイッチを設置する。また、作業者に注意を喚起する警告表示をすることも重要である。 |
3 | 作業手順書を作成するとともに、調整作業は機械を止めて行うよう周知徹底すること 非定常作業を含めた安全な作業のための作業手順書を作成し、詰まった丸太を調整する作業は、皮むき機を止めて行うよう作業者に周知徹底する。 |