鋼管骨組みから防護シートを取り外す作業中に墜落し死亡
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の仮設物、建築物、構築物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 足場から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業箇所の間隔空間の不足 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101111
発生状況
この災害は、6階建て鉄筋コンクリート造りのビル解体工事において、防護シートの取り外し作業を行っているときに発生したものである。 災害発生当日、予定されていた作業内容は、鋼管を組み合わせて作られた「骨組み」から防護シート(防じん・防音用シート)を取り外す作業と「骨組み」を解体する作業であり、防護シートの取り外し作業を請け負った3次下請の作業指揮者Aおよび作業者B〜Eの計5人により作業が始められた。 Aは、C〜Eに「骨組み」に上って防護シートを取り外す作業を、Bに地上で防護シートを受け取る作業をそれぞれ指示し、A自身はC〜Eとともに「骨組み」に上って防護シートの取り外しに取り掛かった。まず南面の防護シートの取り外しを終え、次に東面の作業に取り掛かって間もなく、Bが「骨組み」に上ってC〜Eの作業を補助しているのを見つけたAは、Bに地上に戻るよう指示したところ、その直後、Bは足を滑らせて約8m下の地上に墜落した。Bは直ちに病院に搬送されたが、死亡した。 当日、ビルはすでに解体されており、防護シートを取り付けた「骨組み」が工事現場を囲うように設置されていた。解体されたビルと周辺の建物との間隔が狭かったため、元々、足場ではなく鋼管を組んだだけの「骨組み」として設置されており、防護シートの取り外し作業が1日のみであったため、足場の設置等、墜落防止措置が講じられない作業計画になっていた。 また、Aは、「骨組み」に上って作業する際に安全帯を使用するよう指示しておらず、A〜Eはいずれも安全帯を着用していたが、Bはこれを使用していなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 足場の設置等の墜落防止措置が講じられていなかったこと 高所で防護シートの取り外し作業を行っていたにもかかわらず、足場の設置、安全帯の使用等の墜落防止措置を講じていなかった。 |
2 | 作業指揮者が安全帯の使用を徹底していなかったこと 作業者は安全帯を着用していたが、作業指揮者Aは安全帯の使用を徹底せず、安全帯の使用は作業者まかせとなっていた。そのため、安全帯を使用していなかったBは、足を滑らせた際にそのまま8m下の地上に墜落した。 |
3 | 安全衛生管理が不十分だったこと 災害が発生したビル解体工事現場は、元請、1次下請、2次下請、3次下請の重層請負体制となっており、防護シートの取り外しの作業を足場を設置せず、安全帯の使用も徹底しないで実施する作業計画とする等、安全衛生管理が十分に機能していなかった。また、作業指揮者の指示や監督も不十分であった。 |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 高所作業を行う際には足場の設置等の墜落防止措置を講じること 防護シートの取り外し作業等、高所作業を実施する際には、足場を設置して作業を行わせることが原則であるが、これが困難な場合には、安全帯を使用できる設備を整備するとともに、作業者に安全帯の使用を徹底する必要がある。 |
2 | 安全衛生管理を十分に実施できる体制とすること 重層請負体制となっている工事現場では、安全管理の指揮、監督権限を有する者を明確にし、作業における安全衛生管理体制を確立したうえで、元請が指導して、作業における具体的な安全衛生管理上の措置を徹底することが重要である。 |