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労働災害事例

フレキシブルコンテナが崩れて下敷きになり死亡

フレキシブルコンテナが崩れて下敷きになり死亡
業種 プラスチック製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 荷姿の物
災害の種類(事故の型) 崩壊、倒壊
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 照明の不適当
発生要因(人) リーダーシップ
発生要因(管理) 危険場所に近づく

No.101103

発生状況

 この災害は、夜間の作業中、2段積みされたフレコン(フレキシブルコンテナ)の上段が崩れ落ち、作業者が下敷きとなったものである。
 災害発生当日、作業者Aは、プラスチック製品の原料のペレットが入ったフレコン(高さ100cm、底面120×130cm、重量約1tの袋状のもの)をフォークリフト(最大積載荷重2.5t)で運搬する作業を行っていた。Aは、フレコンが2段積みされている倉庫にフォークリフトを乗り入れて方向転換したとき、フォークの先端が下段のフレコンに接触してフレコンの側面が破損し、中のペレットがこぼれ落ちた。そこでAは、破損の状況を確認しようとフォークリフトを下りて近づいたとき、下段のフレコンの形状が崩れ、上段のフレコンが落ちてきて下敷きとなったものである。
 災害が発生した倉庫は狭く、中でフォークリフトを方向転換するのは困難であったが、Aは上段のフレコンを運び出そうとして、方向転換を繰り返していた。また、倉庫内は夜間照明が設けられていなかったため、Aはフォークリフトの前照灯および後照灯を頼りに運転を行っていた。
 なお、当日の夜勤作業に従事していた関係作業者はAを含めた全員がフォークリフト運転技能講習を修了しておらず、事業場も資格の有無を確認していなかった。
 また、倉庫から原料が入ったフレコンを運び出す作業について、事業場では作業計画を作成しておらず、運搬の手順等については作業者の判断に任せていた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  作業者がフォークリフトの運転について資格を有していなかったこと
2  安全な作業のための作業計画を定めることなく、作業者まかせで夜間に狭い場所でフォークリフトを使用して作業を行なわせたこと

対策

 同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  最大積載荷重1t以上のフォークリフトを使用する作業には、フォークリフト運転技能講習を修了した資格者に行わせること
2  フォークリフトを使用して作業を行う場合は、作業場所の広さや明るさ、フォークリフトの種類および能力、荷の種類、形状等を検討した上で作業計画を作成し、これを作業者に周知した上で行わせること
 作業計画を作成する際には、特に次の点を検討して安全な作業が行われるようなものとし、作成した作業計画は関係作業者全員に周知徹底するとともに、作業が安全に遂行されるよう管理する。
(1) 原料置き場や通路について、運搬に必要な十分な広さを確保する。
(2) 夜間に作業を行う可能性のある場所については、フォークリフトの前照灯、後照灯の以外にも作業場所全体を照らすのに十分な照明設備を確保する。
(3) フレコンの破損等の異常発生時を想定した措置を定める。
3  安全管理体制を充実・強化すること
 夜間の作業について、工場の管理者は、臨時作業も含めて十分に把握し、作業計画や作業手順、作業者の役割分担等を確認し、安全作業が遂行されるよう管理する。