研削砥石が破裂して負傷
業種 | 機械(精密機械を除く)器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 研削盤、バフ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.101102
発生状況
この災害は、金属製品を研削するCNC円筒研削盤において、新しく取り付けた砥石のドレッシング作業(砥石を加工物に直角に当たるようにダイヤモンド工具で整形する作業)中に、回転中の砥石が破裂したものである。 災害発生当日、作業者Aは、摩耗した砥石をフランジごと取り外し、5日前に作業者Bがあらかじめ別のフランジに取り付けていた新しい砥石をその研削盤に取り付け、5分間の試運転を実施して、いったん停止した。 その後、研削する金属製品の形状に合わせ、砥石のドレッシング作業を行った。まず荒削りで砥石の右側と左側を研削し、次に仕上げ用の砥石で右側を0.02mmずつ6回研削した後、左側を同様に研削しているとき、突然、砥石が破裂して、飛来した破片がAに当たり、Aは軽傷を負った。 研削盤の砥石覆いは、閉めることができる構造であったが、砥石とダイヤモンドとの当たりを見るために開けていたため、破裂した砥石の破片が周囲に飛散しAに当たった。なお、Aは「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」に係る特別教育を修了していた。 災害発生後の調査から、[1]フランジと砥石の間に金属片の異物が介在していた、[2]フランジ締め付け時に六角レンチとハンマーを使用していたこと、が判明した。 また、この工場では、CNC円筒研削盤の砥石の取替え基準を定めており、5日前に外観・打音検査で異常が無いことが確認された新しい砥石を予備のフランジに取り付けていた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 直接の原因は回転中の砥石が破裂したことであり、その原因については、5分間の試運転でも異常がなかったこと、荒削り実施後の右側の6回の仕上げ研削でも異常がなかったことから、回転による遠心力、ドレッシングの負荷による応力ではなく、次のことが考えられる。 [1] フランジと砥石の間に金属片の異物がはさまっており、その部分に集中した負荷が加わり、砥石に集中応力を発生させたこと [2] フランジと砥石の締めつけには、作業標準で規定されていたトルクレンチを使用せずに六角レンチとハンマーを使用したため、複数のボルトに加わるトルクにむらを生じ、砥石に部分的に強い圧力が加わったこと |
2 | 砥石覆いが開いたままであったこと 砥石とダイヤモンド工具の当たりを確認するため、砥石覆いを開いたままにしていたため、破裂した砥石の破片が周囲へ飛散した。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 適切な締めつけなどを行うこと 砥石の破裂を回避するため、フランジと砥石の間に異物が入ることのないよう十分に確認するとともに、フランジを固定するボルトの締めつけは、必ずトルクレンチを使用して、どのボルトにも均等な力がかかるようにする。 |
2 | 砥石の覆いを正しく使用すること 砥石のドレッシング作業は、砥石覆いを閉じて行う。 目視による砥石とダイヤモンド工具の当たりの確認が必要な場合には、確認作業のための低速回転モードを設け、その低速回転モードの場合のみ覆いを開けた状態が許容されるインターロック機能を組み込むことが望ましい。 |