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労働災害事例

丸のこ盤から出る残材をのこ屑処理機へ投入する作業中、巻き込まれて死亡

丸のこ盤から出る残材をのこ屑処理機へ投入する作業中、巻き込まれて死亡
業種 製材業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 木材加工用機械
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不安全な服装をする

No.101100

発生状況

 この災害は、丸太から角材を製造する丸のこ盤からでる残材の処理作業中に発生したものである。
 災害発生当日、工場では、作業者A〜Cの3人で丸太から角材を製造していた。Aが丸太の仕分、頭揃等を、Bが角材製造用のツイン丸のこ盤の操作を、Cが搬送ラインで運ばれてくる屑材ののこ屑処理機への投入を、それぞれ担当して朝から作業を行っていた。
 午後2時頃、ツイン丸のこ盤を操作していたBが、それまで屑材の搬送ラインの出口で作業していたCの姿が見えなくなったことを不審に思い、確認のために搬送ラインへ近づいたところ、Cがのこ屑処理機への投入コンベアの軸継手に巻き込まれて死亡しているのを発見した。災害発生時、Cは、工場が指定した長い前掛を着用して作業を行っていた。
 残材ののこ屑処理機への投入コンベアは、投入口の手前に設けられたスライドコンベアの一種で、Cが巻き込まれた軸継手は投入コンベアの一番手前の左右の歯車の軸を接続するもので、歯車の軸を固定するボルトが突出していた。軸継手にはカバー等の作業者が巻き込まれるのを防止するための措置は講じられておらず、巻き込まれ危険の警告表示もなかった。また、のこ屑処理機に設けられている非常停止スイッチは、通常、Cが作業していた位置から操作することはできなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  回転軸の軸継手にボルトが突出していたこと
 のこ屑処理機への投入コンベアの軸継手は、ボルトが突出していたため、Cが着用していた前掛けが引っ掛かって巻き込まれた。
2  軸継手へ作業者が接触することを防止する措置が講じられていなかったこと
 作業者が接触して巻き込まれるおそれがある回転軸に、カバー、覆い等が設けられていなかったため、Cが着用していた前掛けが巻き込まれた。
3  作業者に危険な服装をさせていたこと
 回転軸の近くで作業を行う作業者に、巻き込まれる危険がある前掛けを着用させていた。
4  作業位置に非常停止スイッチが設置されていなかったこと
 作業者が危険を感じたときに投入コンベアを含むのこ屑処理機の運転を停止する非常停止装置のスイッチが、Cが作業していた位置を離れることなく操作できる個所になかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  のこ屑処理機の回転軸の突出部分をなくすとともに、回転軸に、カバー、覆い等を設ける等、巻き込まれを防止するための本質的安全化を図ること
 回転軸の継手は、ボルトやねじを突出させないように加工するか、溶接により2本の軸を固定することにより突出部分をなくす。
2  巻き込まれるおそれの少ない作業服装を着用させること
 動力により回転される機械を取り扱う作業を行う場合は、前掛け、タオル、ひも状の着衣等巻き込まれるおそれのあるものの着用を禁止し、関係作業者に徹底する。
3  作業位置に非常停止スイッチを設置すること
 通常の作業位置を離れることなく操作できる個所に、非常停止装置のスイッチを設置する。