事業場に付属する寄宿舎で火災が発生し、逃げ遅れた労働者が死亡
業種 | 電気通信工事業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の電気設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | コミュニケーションなど | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101095
発生状況
この災害は、事業場に付属する2階建ての寄宿舎で夜間、火災が発生し、就寝中であった労働者1名が逃げ遅れて死亡したものである。 火災の発生現場となった寄宿舎は、Z社の事業場に隣接する場所にあり、4棟からなる建物には計73名が寝泊りしていた。Z社では、この事業場で数カ所の有期建設事業を請け負っており、労働者はここから社有車に分乗して建設現場へと向っていた。 災害発生当日、火災があった寄宿舎では翌日の作業に備え、ほとんどの労働者は自室で就寝しようとするところであった。寄宿舎の2階に部屋がある労働者Aは、布団が電気ストーブに触れ、着火したのに気がつき、一旦部屋の外に逃げた。その後、Aは消火を試みようと部屋に戻ったが火の勢いがさらに強まっていたことから消火を断念し、周囲の居室にいる労働者に対し廊下から大声で火災を知らせ、避難を呼びかけた。これに対しほとんどの労働者は廊下・階段伝いに逃げるか、窓から飛び降りるなどして避難したが、労働者Bが逃げ遅れ、駆けつけた消防隊員により自室で死亡しているのが発見された。 Aが使用していた電気ストーブは、A自身が購入し、居室に持ち込んだものであった。 火災があった寄宿舎には2階の廊下の中央付近に押しボタン式の火災報知機が備え付けられていたが、火災発生時には故障していて使用できなかった。また、2階の廊下には消火器が2本備え付けられていたが、労働者が使い方を知らず、使用されなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 寄宿舎内でのストーブ等火器の使用について管理が十分ではなかったこと |
2 | 設置されていた警報装置が故障していたこと |
3 | 火災発生に備えた、消火器の使用方法や避難等についての訓練が行われていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 寄宿舎内でのストーブ等火器の使用について規定を定め、適切に管理すること |
2 | 警報装置は定期的に保守点検を行い、常に有効に作動するようにしておくこと |
3 | 労働者に対し、消火器の使用方法や避難等についての訓練を行うこと |