トラック荷台で作業中、転落し死亡
業種 | 金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の積み方、置き方の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 物の押し方、引き方の誤り |
No.101087
発生状況
この災害は、金属パイプ切断工場において、トラック荷台に積まれた金属製角パイプ束を下ろす作業中に発生したものである。 災害発生当日、Z社の作業者Aは、Y社の工場で材料となる金属製角パイプ束(重量750kg) 4束を自社のトラックの荷台に積み込んだ。その後、自社に戻ったAは、工場内の天井走行クレーンを使用してパイプ束を下ろすため、トラックの荷台に上がり、パイプ束にクレーンでつるためのスリングベルトを巻く作業に取り掛かった。しかし、パイプ束と束の間隔がせまくスリングベルトを巻くことができなかったため、鉄製のバールをパイプ束の間に差し込んでパイプ束の間隔を開けることとした。 最初は、荷台上の1番右側のパイプ束と右側から2番目のパイプ束との間を開けるため、それらの束の間にバールを差し込んで数回小突き、1番右側のパイプ束を移動させて間隙を開けた。 次に、2番目のパイプ束と3番目のパイプ束との間を同様な方法で開けようとして、荷台と3番目のパイプ束に足を掛けてバールを手前に引きパイプ束を数回小突いたところ、バールが滑り、その反動でAはバランスを崩し、トラックの荷台から仰向けにコンクリート床面に転落した。Aはすぐに病院に運ばれたが、死亡した。 災害発生当時、Aは保護帽を着用していなかった。また、トラックの荷台上で、スリングベルトを使用して積荷をつり下ろす作業についてZ社では、作業手順書を作成しておらず、安全な作業方法について作業者に教育を行っていなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 荷台にパイプ束を積み込む際、つり下ろすことを考えずにパイプ束を詰み積んだこと AはY社でパイプ束を積み込む際、間隔を詰めてしまい、かつ、玉外ししたスリングベルトも取り外したため、Z社に戻って荷をつり下ろす際、再びパイプ束にスリングベルトを巻かなければならなくなった。そこで、荷台上で作業していてバランスを崩し、転落した。 |
2 | 保護帽を着用せずに、荷台上で作業したこと Aは、荷台上での作業に際し保護帽を着用していなかったため、床面に転落したときの衝撃を吸収することができなかった。 |
3 | 荷台上で行う作業について作業手順書を作成しておらず、作業者への教育も行っていなかったこと Z社では、トラックの荷台上でスリングベルトを使用して積荷をつり下ろす作業について作業手順書を作成していなかった。また、作業者に対し、安全な作業方法についての教育を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 荷の積み下ろしについて作業方法を改善すること トラックの荷台にパイプ束等の荷を積み込むときは、 (1) パイプ束にスリングベルトを取り付けたままにしておく (2) パイプ束にスリングベルトを容易に巻くことができるようにあらかじめ間隔を開けて置く 等、荷をつり下ろすときにトラック荷台上での作業をできるだけ少なくできる方法を採用する。 |
2 | トラックの荷台上で作業を行うときは、作業者に保護帽を使用させること トラックの荷台に上って作業する場合は転落の危険があるため、必ず保護帽を使用して作業を行わせる。 |
3 | 荷台上で行う作業について作業手順書を作成し、作業者に教育すること トラックの荷台上で行う作業について、墜落防止措置を含めた作業手順書を作成し、作業者にその内容を教育する。 |