ドラグ・ショベルが横転し、運転者が死亡
業種 | 河川土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 河川土木工事 | ||||
災害の種類 | パワーショベル等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の置き方、作業場所の欠陥(部外の) | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 荷等の積み過ぎ |
No.101086
発生状況
この災害は、河川改修工事において、ドラグ・ショベルを使用して土嚢(土のう)を運搬する作業中に発生したものである。 災害発生当日の作業は、2台のドラグ・ショベルを使用して、右岸上に置かれた土嚢を左岸側の河川敷に運搬するものであった。 1台目のドラグ・ショベルで、右岸上にある土嚢を2袋ずつバケットのフックに繊維ロープにより玉掛けしてつり上げた後、仮設道を通り、河川敷まで運んで下ろし、そこに待機しているもう1台のドラグ・ショベルで運ばれてきた土嚢を同様の方法でつり上げて、左岸側の所定の位置まで運搬するという作業を行った。 何回目かの運搬作業のため、右岸上においてドラグ・ショベルにより土嚢をつり上げて旋回したところ、ドラグ・ショベルが横転し、3m下の河床まで回転しながら転落した。転落した際、ドラグ・ショベルの運転者は機体の外に放り出され、ドラグ・ショベルのクローラの下敷きになった。なお、ドラグ・ショベルが横転した個所の路肩には崩壊等の変化は見られなかった。 土嚢の運搬作業に当たっては、移動式クレーンや運搬車の手配を考えることなく、現場にあったドラグ・ショベルを用途外使用することを前提に工事計画書が作成されていた。また、ドラグ・ショベルによる運搬作業において、ドラグ・ショベルの構造や能力から一度に運搬できる土嚢の数をあらかじめ検討することもしていなかった。そのため、当日は、ドラグ・ショベルの運転者の感覚に頼って2個の土嚢をつり上げて旋回したとき、地面が傾斜していたこともあって、ドラグ・ショベルが横転したものである。 なお、現場で使用していた作業計画書には、土嚢運搬作業は盛り込まれていなかった。また、ドラグ・ショベルの運転者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ドラグ・ショベルを主たる用途以外の用途に使用したこと |
2 | ドラグ・ショベルの種類や能力、運行経路、作業方法について示された作業計画書が作成されていなかったこと |
3 | ドラグ・ショベルの運転者に対し安全衛生教育を実施しなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ドラグ・ショベル等の車両系建設機械を主たる用途以外の用途に使用しないこと 荷を運搬する作業の場合は、移動式クレーンやクレーン機能付き車両系建設機械等荷を運搬することができる機械を使用する。また、クレーン機能付き車両系の建設機械で荷をつり運搬する場合は、クレーン作業そのものであるので、運転資格者、玉掛け資格者の確保その他の移動式クレーン作業にかかる安全対策を講じた上で作業を行う。 なお、止むを得ず車両系建設機械を主たる用途以外の用途に使用する場合は、一定の要件を満たすつり上げ用の器具を取り付けた上で、車両系建設機械の転倒または転落を防止するため合図者を指名して、その者に合図をさせるとともに、構造、出力等に応じ、安全に作業することができる荷重を超えてつり上げないようにする等の措置が必要である。 |
2 | すべての作業について使用するドラグ・ショベル等の車両系建設機械の能力、用途等を検討した作業計画書を作成すること 工事中に行われるすべての作業について、使用する車両系建設機械の種類、用途、能力、運行経路、作業方法を事前によく検討して作業計画書を作成する。 |
3 | ドラグ・ショベル等の車両系建設機械の運転者等関係労働者に対し安全衛生教育を行うこと 車両系建設機械の運転操作について、安全衛生教育を行う。 |