ドラグ・ショベルのバケットと壁との間にはさまれ、死亡
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | パワーショベル等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101081
発生状況
この災害は、道路拡幅工事現場において、ドラグ・ショベルのバケットにコンクリート打設用バケットをつるす作業中に発生したものである。 災害発生当日の作業は、護岸コンクリート擁壁部分のコンクリート打設であり、午前中は作業者数名で、コンクリート打設のための型枠の組み立て作業を行った。 午後は、現場にはドラグ・ショベルの運転者Aと作業者Bの2人の作業者のみが残り、型枠へのコンクリート打設を行うことにした。型枠にコンクリートを打設するため、Bはドラグ・ショベルにコンクリート打設用バケットをつるす準備作業を開始した。 このとき、Aはドラグ・ショベルの運転席でBの作業状況を見ていたが、視界を確保しようと運転席から左手を使って運転席ドアを開けようとし、手を伸ばしたところ、腕がアーム操作レバーに触れ、ドラグ・ショベルのアームが動きバケットが前方に動いた。このため、ドラグ・ショベルのバケットと既設コンクリートブロック擁壁との間の狭い場所で作業をしていたBが、ドラグ・ショベルのバケット背面と擁壁との間にはさまれ、死亡した。 コンクリート打設用バケットの移動は、移動式クレーンを手配して行うことなく、現場にあるドラグ・ショベルを使用して作業する工事計画となっており、このドラグ・ショベルには、つり上げ機能は付いていなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ドラグ・ショベルを主たる用途以外の用途に使用したこと 作業の性質上やむを得ないかどうか、また、安全な作業を遂行できるかどうかを事前に検討しないで、安易にドラグ・ショベルを主たる用途以外に使用した。 |
2 | ドラグ・ショベルの運転者がレバーロック装置を使用しないで、ドアを開けようと腕を動かしたこと ドラグ・ショベルを運転していたAは、アーム先端のバケット近くでBが作業していることを認識していながら、レバーロック装置を使用せずに腕を動かしたため、操作レバーに振れ、アームを動かしてしまった。 |
3 | ドラグ・ショベルの可動範囲内の狭隘な場所で作業を行ったこと Bは、ドラグ・ショベルの可動範囲内の、既設コンクリートブロック擁壁とドラグ・ショベルのバケットとの間の狭い場所で作業を行っていた。 |
対策
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 事前に安全に配慮した適切な工事計画を作成すること 荷のつり上げ、移動等は移動式クレーンやつり上げ機能付きドラグ・ショベル等を使用して行い、これらの機能のないドラグ・ショベルによりこれらの用途外使用は行わない工事計画とする。 |
2 | ドラグ・ショベルの運転者に対し安全教育を実施すること ドラグ・ショベルの運転操作を休止する時は、操作レバーロック装置を使用するように安全教育を徹底する。なお、つり上げ機能付き車両系建設機械を使用する場合は、運転者には車両系建設機械の運転資格と移動式クレーンの運転資格を共に所有する者に運転させる必要がある。 |
3 | ドラグ・ショベルの可動範囲内の狭隘な場所で作業を行わせないこと ドラグ・ショベルの運転者の可動範囲内で視界の陰になる狭隘な場所で作業を行わせないようにする。このような場所での作業を避けることができない場合には、合図者を配置して、合図者に従ってドラグ・ショベルを運転させるようにする。また、狭隘な場所に作業者がいるときは、動力を切るか、レバーをロックしてドラグ・ショベルが動き出さないようにさせることが重要である。 |