石油タンクの解体中に火災
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の危険物、有害物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | ガス等の爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他の不安全な状態 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101078
発生状況
この災害は、油槽所の廃止された石油タンクの解体作業で発生したものである。 災害発生当日は、8000kLの石油タンクの解体を、ドラグ・ショベルにカッターのアタッチメントを取り付けた機械で、石油タンクの側板を上部から底部まで縦方向に切断する方法で行っていた。 午後3時頃、この方法で石油タンクの上部の切断を行っていたところ、突然、石油タンクが燃え上がった。油槽所の所長は、一帯の共同防災センターの消防隊に出動を依頼するとともに、消防署に通報した。その後、消防車が到着して放水した結果、約1時間後に火災は鎮火した。なお、この火災による人的被害はなかった。 火災が発生した石油タンクは、上面が浮き蓋(フローチングルーフ)になっており、浮き蓋の直径は側板の内径より約40cm小さく、浮き蓋と側板との間にはウレタンフォームが内蔵されたゴム製の袋を充填していた。火災は、側板を切断する際に生じた火花が側板の内側に落下し、浮き蓋と側板との間に充填されたゴム製の袋を通し、ウレタンフォームに着火して起きたものである。なお、タンク内の石油は1ヶ月前に抜き取られていた。 石油タンクの解体工事を受注した元請および当日の作業を指揮していた一次下請業者は、タンク内にウレタンフォームが残っていることは知っていたが、ウレタンフォームが容易に着火することの認識がなく、側板の切断時に発生する火花による火災の発生防止を盛り込んだ作業計画書を作成していなかった。 |
原因
この火災の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ウレタンフォームが内蔵されたゴム製の袋を除去することなく解体作業に着手したこと 元請および一次下請業者は、ウレタンフォームが可燃物であり容易に着火するものであるとの認識がなく、これを除去しないまま解体作業を行ったため、発生した火花によりウレタンフォームが着火し、火災となった。 |
2 | 火災の発生防止等を盛り込んだ作業計画書を作成していなかったこと 元請および一次下請業者は、側板の切断時に発生する火花により石油タンクの内部や周辺の可燃物が着火することを想定し、火災を防止するため予め可燃物を除去する等の措置を盛り込んだ作業計画書を作成していなかった。 |
対策
同種事故の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 燃焼するおそれのある可燃物を除去した後で切断作業を行うこと 今回の事例のように燃焼するおそれのあるウレタンフォーム等の可燃物がタンク内の構成材料として使用されている場合には、発注者と解体作業を請負った会社で情報交換を行い、可燃物を撤去した後、解体作業に着手するようにする。 |
2 | 解体対象物の材料や構造を検討し、安全な作業を行うための作業計画を作成すること 石油等の危険物を貯蔵していたタンクの解体作業を行うときには、タンク内に貯蔵していた危険物のガス、蒸気等の残存がないかを確認することはもちろんのこと、タンクおよび付属の断熱材等を構成する物について、その危険有害性をあらかじめ検討してタンクの解体方法等を決定し、作業計画書を作成する。 また、作業計画は予め関係労働者に対し周知徹底しておくことが重要である。 |