天井クレーンのサドルと建屋の柱とにはさまれて死亡
業種 | 陸上貨物取扱業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 安全の不確認(以前の) | |||||
発生要因(人) | 近道反応 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.101069
発生状況
この災害は、製鉄所圧延工場に設置された天井クレーンAの運転手(被災者)が、昼食休憩のため、同一ランウェイ(クレーンが移動するための走行軌道レール)に設置されている天井クレーンBに乗せてもらって移動しようとして、当該クレーンのサドル(クレーンを走行させる車輪を備えた構造物)に乗ろうとした際に発生したものである。 災害発生当日、被災者は、午前中の業務を終え、昼食休憩をとるため、クレーンBに乗せてもらって天井の端へ移動しようとして、ランウェイガーダ上をクレーンAの位置からクレーンBの位置まで歩いて行った。 被災者は、クレーンBのサドルに乗るため、クレーンBの運転手に合図しようとして、連絡用ブザーを鳴らしサドルに乗ろうとしたが、突然、クレーンBが走行したためサドルと建屋の柱にはさまれて被災した。 被災者は、予めクレーンBに乗ることをクレーンBの運転手に伝えていたが、連絡用ブザーの合図は、通常「クレーンを走行してよい」という合図であったことから、クレーンBの運転手は、被災者が既にクレーンBに乗ったものと判断してクレーンを走行させたものであった。 なお、クレーンには移動目的で乗ることは禁止されており、ランウェイガーダ上には点検作業以外は立入禁止になっていた。また、クレーンへの乗込みは、所定の昇降設備を使用して行うことになっていたが、これらは労働者に徹底されていなかった。 当該工場では、クレーン運転手に対して、クレーン運転の安全な作業や手順等についての安全衛生教育が十分行われておらず、安全管理者による職場巡視等による作業環境や作業状況の把握が十分でなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | クレーンに移動目的のため作業者を乗せることは禁止されているにもかかわらず、被災者をクレーンに乗せてクレーンを走行しようとしたこと |
2 | クレーンに乗り降りする際、所定の昇降設備を使用することになっていたが、被災者が、立入禁止であるランウェイガーダ上からクレーンのサドルに乗ろうとしたこと |
3 | 被災者が行った連絡用ブザーによる合図を含め、クレーン運転の安全な作業等についての安全衛生教育が労働者に十分行われていなかったこと |
4 | 安全管理者による職場巡視等による作業環境及び作業状況の把握が十分でなかったこと |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策が必要である。 | |
1 | 移動目的のためクレーンに作業者を乗せないこと |
2 | ランウェイガーダ上には点検作業以外、作業者を立ち入らせないこと、また、クレーンに乗り降りする際は、所定の昇降設備を使用させること及び所定の昇降設備以外からクレーンに乗り込めないように、柵等を設置すること |
3 | クレーン運転手等に対して、クレーン作業での危険、クレーン運転の安全な作業手順等ついての安全衛生教育を行うこと |
4 | 安全管理者による職場巡視等での作業環境及び作業状況の把握を十分に行い、問題を把握した場合は直ちに是正すること |