天井クレーンで鉄骨柱をつり上げ作業中、鉄骨柱の仮溶接部が破断落下し、作業者が下敷きになり死亡
業種 | 金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 組立、工作の欠陥 | |||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) | つり荷に触れ、下に入り又は近づく |
No.101068
発生状況
この災害は、鉄骨組立工場において、天井クレーン(つり上げ荷重6t)を用いて、仮付け溶接した鉄骨柱(7.5m、1階部柱4.0mと2階部柱3.5mを仮溶接したもの、質量約5t)を反転する作業中に発生したものである。 災害発生当日、被災者A(リーダー)と同僚の2名が共同で仮溶接した鉄骨柱を、本溶接を行うポジショナー(部材反転機)にセットするために、天井クレーンを用いて反転させる作業を行っていた。Aが鉄骨柱の2階部柱に2本2点目通しで玉掛けを行い、Aの合図で同僚が床上操作式の天井クレーンで地切りしたところ、鉄骨柱の先端部分が床に置いてあった他の部材に引っ掛かったため、つり荷の鉄骨柱をクレーンで揺らし、引っ掛かりを外そうとした。その時、仮付けした溶接部が破断し、鉄骨の1階部柱が落下し、Aがその下敷きになった。床下操作式クレーンの運転資格を有していない作業者がクレーンの運転をしており、また、クレーンを使用する作業について、作業手順書の作成や作業者に対する安全衛生教育は行われていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | 1 | つり荷の鉄骨柱が床にあった部材に引っ掛かったとき、クレーンで揺すって外そうとしたことで、仮溶接部に過大な負荷がかかったこと |
2 | 被災者がつり荷の鉄骨柱下方にいたこと |
3 | 当該クレーンの運転資格がない作業者がクレーンの運転を行ったこと |
4 | クレーンを使用する作業について、標準作業手順書の作成および作業者に対する安全衛生教育を行っていなかったこと |
対策
同種災害防止のためには次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | つり上げ時につり荷が他の部材等に接触したときは、クレーンで揺すって外そうとせず、一旦つり荷を停止、あるいは下ろした後に支障となっている状況を確認して適切な方法で外すこと |
2 | クレーンを使用した作業では、つり上げ動作が終了し、つり荷が安定するまでつり荷に近づかないこと |
3 | クレーンの運転は資格がある者に行わせることとし、作業を始める前に資格の有無を確認すること |
4 | クレーンで安全作業について、標準作業手順書を作成し、これをもとに作業者に対し安全衛生教育を行うこと |